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どんなビジネスでもそこにお客様がいる限り、ずっと使い続けて欲しいですよね。そのためには顧客満足度を高めるホスピタリティが大切です。今の時代、競合他社がひしめき合っています。単に商品が充実しているだけではリピーターは増えません。今回はホスピタリティ溢れる接客応対のポイントを紹介します。

株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝

1.サービスとホスピタリティの違い

一言で言うと、サービスはマニュアル化できます。しかし、ホスピタリティはマニュアル化できません。何故ならば一人ひとり異なるお客様への個別対応だからです。ホスピタリティはサービスを超えたもの、と理解してもらって構いません。誰にでも行う一定のサービスとは違うプラスアルファの個別対応がホスピタリティです。接客マナーはサービスの範囲です。出来て当たり前、ですよね。ホスピタリティはそこに「心理的な配慮」が加わると考えて良いでしょう。お客様を不快にさせない接客マナーができていることはもちろん、心地よさ・心の満足が提供できれば顧客満足度は格段にアップするのです。

2.ホスピタリティとは何か?

そもそも、ホスピタリティってなんでしょうか?おもてなし、と解釈するのが一般的です。間違いではないのですが、お客様に高級なお菓子やお茶を出したりすることではありません。相手の様子を見て、何を提供すれば心地よいか?を考えることです。人が持つ2つの欲求を満たすことができればそれがホスピタリティを感じることにつながります。

❶ 心理的欲求

一般的・大衆的ではない自分だけに向けた提案、いつ行っても歓迎してくれる特別感。をモノではなく心を感じていただくことが心理的な欲求を満たすことにつながります。例えば、物理的な欲求を満たすのであればノベルティなどのギフトがあります。値引きやセールなどは金銭的な欲求が満たされます。それ等は目に見えますが、心理的な欲求は目に見えません。お客様が心理的に満たされるのはどんな時か?それは「自分はここで大事にされている」と思えたときです。顔見知りの顧客が来たら、最高の笑顔で「お待ちしてました!」と伝えるだけでも十分にホスピタリティを感じていただけます。そんな心で感じ取れるような、心のこもった温かい対応や配慮を工夫しましょう。

❷ 自己実現欲求

人は皆、なりたい自分・目指すことが必ずありますよね。それを実現させたいと思っているお客様に何を提供するか?によって自己実現欲求を満たすことにつながります。そのためには、無心でお客様の話を聞く、得られたお客様の情報を使ってそれに合わせた個別提案をすることがポイントです。普段の習慣・好み・ライフスタイル・肌の悩みなどなど、人それぞれ違う要望を知るためには質問のスキルアップがカギとなります。今の自分に合わせた提案だけでなく「未来の自分」に向けた提案こそが自己実現欲求を満たすことにつながります。自分のことを真剣に一緒に考えてくれる人にホスピタリティを感じるのは、接客に限ったことではないですよね。

3.接遇応対7つの基本

ホスピタリティを感じていただくためにはまず「接遇の基本」ができていなければなりません。以下の7つは最低限の項目ですのでチェックしてみてください。

            ♦ 接客自己チェック ♦

1.お客様に「ようこそ」という歓迎の気持ち表しているか?… 最高の笑顔
♦ お客様の方を向いて目を合わせた挨拶
2.イレギュラーな要望に対しても応えようとしているか?… 個別対応
♦ ありません、できませんではなく代替案を提案
3.常にお客様の様子・動きに注意しているか?… 目配り/気配り/心配り
♦ 他のことをしながらさりげなく様子をうかがう 
4.自分が担当していないお客様へも気遣いしているか?… 笑顔で挨拶
♦ 全員で歓迎していることを伝える
5.受け身でなく積極的に提案しているか?… お客様の情報
♦ 質問のスキルアップでお客様のことを知り新しい発見を提供する
6.お客様を楽しませる会話や工夫をしているか?… リラックス
♦ 事務的にならないよう居心地のよい空間作り
7.心から「ありがとうございます」と言えているか?… 感謝
♦ お買い上げの有無に関わらずご来店への感謝を表す

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ホスピタリティとおもてなしについて動画で解説しています


4.ホスピタリティ3大要素

お客様がホスピタリティを感じる要素には3つあります。また行きたい、またこのスタッフに会いたいと思えるような印象と記憶に残る接客接遇を心がけましょう。

❶ 信 頼

スタッフは信頼できる人か?信頼できるお店か?というのが大切なのは言うまでもありませんよね。では、どうすれば信頼していただけるのでしょうか。そのキーワードは「共感と承認」です。お客様の話を音として耳で聞くのではなく、集中力をもって心で聴きましょう。そして、共感を伝える表現の工夫も大切です。ただ「そうですよね~」「そうですか~」という返答では共感は伝わりません。又、人は誰でも表情や動作・態度でもコミュニケーションするものです。お客様の言葉以外の様子にも注意しましょう。そして、お客様の話や思いを受け止めて承認することで自分を分かってくれる人だ、と信頼関係が作れます。

❷ 安 心

自分に本当に合ったものを勧めてくれるのか?スタッフの知識は確かか?ムリに勧められるのではないか・・・などお客様は不安でいっぱいです。お客様に安心していただくには「確かにお客様の話を理解しました」と共有したことを伝えることです。そのためには適度に相づちを打ったり、要点を繰り返して確認することが大切です。ちょっと聞いただけで、お客様のことを全部分かったような対応はNGです。〇〇とおっしゃっていたので、××でお間違いないですか?とか、それなら□□の方がよろしいのではないでしょうか?など要望や希望を共有したことを伝えましょう。それによって、お客様はちゃんと自分の要望が伝わったな、この人に任せて大丈夫だな、と感じるものなのです。

➌ サプライズ

サプライズと言っても、お客様をビックリさせるという意味ではありません。いつもなら選ばないようなものを提案することです。一人で買い物などに行くとつい、いつものパターンになってしまうことはありませんか?無難な選択ですが、かと言って冒険も出来ない…というお客様はたくさんいらっしゃいます。どうしてそれが自分に良いのか?どう便利なのか?などを根拠を添えて積極的に提案しましょう。それには、お客様に興味・関心を持って接することが重要なカギです。意外性のある提案は、そのお客様の身になって真剣に考えて初めてできることです。あのお店に行くとワクワクする、楽しい想定外の提案があると思っていただけることが何よりのホスピタリティなのです。



まとめ

いかがでしたか?ホスピタリティと聞くと、なんだか特別なこと・大変なことをするように思っていませんか?実は、日々の接客の中に自然と取り入れることばかりなのです。ちょっとした一言の工夫。ちょっとした気配りがお客様にとっては嬉しいものです。「おもてなし」は日本における素晴らしい文化です。それをいかに具現化・体現するか?は永遠の課題かもしれません。リピートし続けていただけるよう、単に「感じの良い接客」ではなく「感じてもらう接客」を心がけたいですよね。

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