ニーズは作るもの

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物販でもサービス業でも接客を伴う仕事にはお客様のニーズに合ったものを選ぶことは最も重要です。ここに来れば、あのお店に行けば欲しいものが見つかる。それだけでなく、自分の知らなかったものに出会える。新しい自分が発見できる。など、行く楽しみ、買う楽しみ、見る楽しみを提供し続けるためにはニーズを確認するだけでなく「ニーズを作る」ことが顧客満足にもつながるのです。

株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝

1.ニーズとは何か?

ニーズとは直訳すれば必要なもの、です。接客販売業界においては、お客様の1.必要なもの 2.望むもの 3.欲しいもの と、解釈します。よく、ニーズとウォンツが比較されますが、ニーズはこうしたい、という目的を果たす必要性。ウォンツはそれを達成するための欲求と言えます。と、なれば接客を通じてお客様がニーズを達成するものを手に入れられるように、欲求を満たせば商品やサービスが売れるということになります。簡単に言うと、ニーズは「気持ち・思い」ウオンツは思いに応える「具体的な商品」と言えるでしょう。つまり、ニーズは必要なこと。ウォンツはその必要なことを解決する手段ということになります。ニーズは一つでもウォンツを満たすものは無限にあります。

2.2つのニーズとは?

お客様のニーズには2種類あります。

  1. 顕在ニーズ・・・そもそもお客様が最初から「こうしたい」ことを自覚しているニーズ
  2. 潜在ニーズ・・・自覚していない隠れたニーズ

顕在つまり、初めから明らかなニーズの場合はそれを満たしそうな商品やサービスをダイレクトに探しますよね。一方で潜在つまり、必要だと思っていないものには興味を示しません。ところが、提案接客を受けることで「あ、私にはこれも必要かもしれない。あったら便利かも」と気づくことが多々あります。上記で述べたようにニーズに応える商品やサービスはたくさん存在します。お客様が気づかなかった、知らなかったものを提案することで潜在ニーズが満たされ、買って良かったと思っていただけます。そう考えると、販売員の仕事は売る仕事ではなく「提案する仕事」と言えるでしょう。快適な時間・生活を送るためにお客様のニーズを広げて役立つ提案を心がけましょう。

ニーズの確認と引き出し

顕在ニーズは「確認する」潜在ニーズは「引き出すもの」です。確認することは必要ですが隠れたニーズを呼び起こすにはお客様との会話の中からイメージすることが大切です。目の前の商品だけにとらわれず、幅広い提案をしましょう。

3.ニーズと商品の関係とは?

ニーズとは何か?で述べたようにニーズ=即商品ではありません。ただし、生活必需品のように「いつも使っている商品」の補充をしたくて来た場合は別です。また、お客様が自分で決めて「これ下さい」と言った時は速やかに承ればいいのです。これはハッキリとした目的買いですので販売員を必要としていません。ただ、指名買いの場合は一言、気に入っている理由を聞いてみることで会話が広がり、新たなニーズが生まれることもあります。以下に3つの例題を紹介します。

例題

1.掃除機が欲しい

掃除機が欲しい理由はなんでしょう?部屋をキレイにするためですよね?つまり、この場合のニーズは「部屋を掃除すること」です。お客様のお話の中で忙しくてなかなか掃除の時間も取れない、と聞いたとしたらおススメする商品も変わってきます。ロボット掃除機なら部屋をキレイにしたいニーズに加えてお休みの日も有効に過ごせますよね。

2.美容液が欲しい

美容液が欲しい理由は1.使っているものが切れたから補充する2.今使っているものが気に入らない3.冬場、肌が乾燥してきたのでなんとかしたい などの理由があげられます。では、そもそも美容液というニーズが生まれたきっかけはなんでしょう?そのきっかけこそがニーズなのです。

3.コートが欲しい

コートが必要な理由は1.買い換えたい2.ワードローブを増やしたい3.中に着るものとコーディネートしたい などがあげられます。そもそもコート、という商品が欲しいのはオシャレしたいだけでなく「寒さをしのぐ」ことも理由の一つですよね。その「寒さをしのぐ」こと「オシャレしたい」ことがニーズなのです。

いかがでしょうか?こう考えていくと、ニーズと商品の関係はお客様の「こうしたい」という欲望を満たすために「商品がある」と言えるのではないでしょうか。

YouTubeでも紹介しています!

ニーズ引出しテクニックについて動画で解説しています

4.ニーズを引き出す質問とは?

これまで述べてきたように、お客様の潜在ニーズを引き出すためにはいくつか質問しなければなりません。かと言って、あれやこれやと質問攻めにしてはいけませんよね。質問の質、を高めてお客様の負担にならないよう配慮しましょう。質問の方法には大きく分けて2つあります。更に質問の種類は3つあります。

1.質問の方法

オープンクエスチョン・・・どんな〇〇をお探しですか?どのような〇〇がお好みですか?どのくらいの〇〇をお考えですか?など、お客様が文章で答える質問

ポイント1.相手から幅広い答えを引出せて会話が広がる
ポイント2.相手が沈黙してしまったら間をおいてクローズドに切り替える

❷ クローズドクエスチョン・・
〇〇はお持ちですか?〇〇はお好きなお色ですか?〇〇でお間違いないでしょうか?などお客様はハイかイイエの二者択一で答える質問

ポイント1.相手の答えを素早く引き出せて確認したいときに有効
ポイント2.続けると質問でなく「尋問」になり会話が広がらない

2.質問の種類

確認質問・・・ご旅行用としてシワになりにくい長時間の移動に楽なパンツをお探しなんですね?
❷ 掘り下げ質問・・・
お肌の乾燥が気になるとのことですがお顔全体でしょうか?それとも部分的でしょうか?
➌ 仮説質問・・・
こちらのシューズをお休みの日用にとのことですがアウトドア派でいらっしゃいますか?

このように、質問を使い分けてお客様のニーズを確かめるだけでなくニーズを広げましょう。

まとめ

商品の付加価値として「良い接客」を提供することはお客様が想像していなかった発見や喜びを提供することでもあります。ニーズの確認=商品の確認という考え方から、ニーズ=なりたい姿であるという広い視野を持ちましょう。そうすれば、引き出すだけでなく「広げる」ことが可能になります。欲しいと自覚していない意外性のある提案。ニーズとは1.引き出して2.掘り下げて3.広げて4.提案する これこそがそこにスタッフや販売員が存在する意義なのです。

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