この記事の目次

今の時代、化粧品は様々なところで購入できます。コンビニやドラッグストア、家電量販店に至るまで取り扱っています。体験型のショップなどもあって消費者から見ればこんな便利なことはありません。情報もSNSから取得できて知識もあるので、何を買うかを決めて来店できます。そんな中、そこに美容部員・ビューティアドバイザーがいて、肌の悩みを解決するために最もふさわしい商品を選んでくれたり、自分に似合うメイクアップを教えてくれる百貨店や専門店を利用するお客様も数多くいらっしゃいます。そんなお客様の期待に応えるにはどんな接客が必要なのか?何を提供すべきなのか?について紹介します。
株式会社 ア・ソリューション 代表取締役 髙橋 伸枝
1.化粧品販売の接客に必要なこと
化粧品を販売するためには主に2つのポイントがあります。一つは、商品知識だけでなく皮膚の基礎知識を始めとする美容全般の知識が必要です。もう一つは、カウンセリング技術です。このカウンセリングは一度きりではありません。ご来店の度に、その時の肌の状態をお客様と一緒に確認し、前回と変化していればそれに合った商品選びが必要です。何年も同じ化粧水を使う人もいますが、お客様の満足度を確かめながら販売することが大切です。化粧品は生活必需品の一部ですが、なくなった洗剤を買うのとはわけが違います。今よりもっとキレイになりたい。キレイな状態をキープしたいという心理に応える接客技術が求められます。良い接客をしてもしなくても欲しければ買う人は買うという考え方もあるかもしれません。しかし、せっかく買う気になったのに接客が良くないために購入をやめる人がいるのも事実です。あらかじめ欲しい物が決まっている・急を要する前者ではなく、専門知識によるアドバイスを期待している後者に向けた接客スキルを磨くべきです。化粧品に限らないことですが、どこでも同じ物が買える時代、お客様に選ばれるお店作りのためにはそこで働くスタッフによる接客の影響が大、なのは言うまでもありません。SNSでは得られない満足感を対面でこそ、提供することが接客する目的です。
◆ お客様が期待していること ◆
化粧品は、洋服や靴などと違って肌に直接つけるデリケートな商材です。お客様が商品に期待することはその「効果・効能」です。とは言え、化粧品は薬ではないので「治る・効く」などと言うと薬事法に抵触します。緩和・予防・整える、と言った表現にとどめましょう。では、接客には期待して何を求めて来店するのか?それは、自分の肌の状態やメイクアップで見せたい自分を演出するために心から理解/共感してくれる美容部員・ビューティアドバイザーの存在です。そしてお客様は、商品だけでなくキレイになるための「周辺情報」で裏技などを知りたいと思っています。キレイになりたい、という願望に対してどこまで寄り添って、どこまで親身になってくれるかがお客様にとっては最も重要なポイントです。
◆ 接客フローの基本ステップ ◆

ファーストアプローチ➡ 歓迎を伝える挨拶 ~ 会話のきっかけ作り
ニーズの引き出し ➡ ご来店の目的 ~ 欲しい (見たい) アイテム
顧客情報の共有 ➡ ライフスタイル ~ 普段使用しているもの ~ 好み
商品選択・商品説明 ➡ ニーズに基づく解決方法 ~ 具体的な商品
新たな提案 ➡ 顧客情報から得られた内容をもとにしたベストな提案
注意すべき点は、ファーストアプローチの段階で見ている商品イコール欲しいもの、と決めつけた商品説明をしないことです。あくまで会話のきっかけを作ることが目的で、お客様はこの段階で自分の話をちゃんと聞いてくれるか?この人は信頼できそうか?など一瞬にして判断します。無理やり世間話をする必要はありませんが、いきなり商品の話をすると「買わないとマズイかな」とプレッシャーに感じてしまいます。ライフスタイルを伺うときは、あまり立ち入ったことではなく「いつもどんなものをどのようにお使いですか?」と軽く質問してみます。お客様の日常を知らずに一方的に話すと「それは知ってる・それなら持ってる」ということになり、興味を持っていただけません。お客様の情報が得られれば、結果として新たな提案にもつながります。
2.スキンケア製品の接客
スキンケア製品は、基礎化粧品とも呼ばれますが接客においても「基礎・基本」となります。スキンケアの接客で信頼を得られれば、その他のアイテムもスムーズに紹介できます。
◆ ニーズの引き出しと共有 ◆
まず最初におさえておきたいポイントがあります。「最近、肌の乾燥が気になる」とおっしゃったお客様に「そうですか、それならこちらの〇〇がいいと思います」と、即座に商品を出すことです。このあとに聞こえてきそうなことは「この〇〇はこんな成分が入っていて本当にお肌がしっとりします」というように一方的に商品説明を続けることになりかねません。肌が乾燥する背景に何があるのか?普段はどんなお手入れをしているのか?どのくらい前からか?など乾燥する原因を知ることで、紹介する商品も変わってきます。病院で、症状を伝えることと似ています。更に、化粧水なのかクリームなのか?どのアイテムをどう使えばいいのか、などカウンセリングの幅を広げることが大切です。
❶ そもそもニーズとは何か?
ニーズ=欲しい商品、と考えるのではなくもっと幅広い意味で捉えることが必要です。ニーズを満たすために商品がある、と言い換えることができます。たとえば、アンチエイジングの美容液があるとします。「少しでもシミを目立たなくしたい・肌にハリをもたせたい」ということが【ニーズ】それを実現してくれるのが【美容液】という考え方です。アンチエイジングの美容液が欲しいお客様は、どんな状態を変えたくて使うのか?何が気になっているのか?についてお客様の願いと悩みを共有することが大切です。そう考えると、お客様のニーズを引き出すことができれば的確な商品選択もできるということになります。
❷ お客様情報の引き出しかた
お客様のことを知るためには、いくつかの質問を用意しておく必要があります。
1.普段のお手入れステップ&アイテムの種類
2.外出している時間&屋内で過ごす時間の長さ
3.今使っている化粧品の満足度
4.過去にかぶれた経験の有無
5.日々、スキンケアにかける時間
最低でも、この5つくらいはカウンセリングの中で聞いておきたい内容です。そしてお客様の答えを聞き漏らさずに、ご要望を共有して最適な提案につなげることが信頼を得るカギとなります。
★お客様の心理★

スキンケア製品の場合、どちらかと言うと「肌の悩み&問題解決」が80%です。今のキレイな状態を維持することも使用する目的ですが、やはり何かしら悩みを抱えているお客様が多いものです。乾燥・シミ・シワ・ニキビ・吹き出物・皮脂過剰・毛穴・目の下のクマなどなど暗い話が多くなります。親身な美容部員さんから買った化粧水なら肌が乾燥しなくなったと感じますが、そうでない場合は肌に合わないと感じる。これが顧客心理です。【化粧品は心で使う】と言えます。
3.メイクアップ製品の接客
メイクアップ製品の中にも、スキンケア効果のあるファンデーションなどがあります。一般的にファンデーションはメイクアップの位置づけですが、肌の状態や悩みに応じてリキッドタイプやパウダータイプ・クッションファンデなど、目的別・肌タイプ別に選ぶことができます。この場合は、スキンケア製品の接客で紹介した方法を参考にしてください。お客様は「どうなりたい?どうしたい?」という視点で接客すると自ずと質問も浮かんできます。繰り返しになりますが「何が欲しい?どれを買うの?」という視点は邪魔にしかなりません。
❶ ファッションとの全体バランス
メイクアップは自己表現であり、自己演出です。着物には着物に合うメイクアップがありますし、洋服でも職場・プライベート・冠婚葬祭までファッションとメイクは切り離せないものです。冒頭に述べたようにSNS他、お客様が自分で調べてアイシャドウなどの色を選ぶ時代なので、一見、美容部員の出番がなさそうにも見えます。ただ、実際につけてみないと発色の具合が分かりません。又、5色の使い分けなどメイクアップ技術も必要です。お客様の好みやファッションの系統に合わせた提案ができることがベストです。
❷ 長所を生かしてコンプレックスをカバー
目を大きく見せたい・小顔に見せたいなど自分の欠点をカバーする目的を達成するためには、商品のみならず「使いかた・つけかた」のテクニックが必要です。舞台メイクなどの特殊なものは別として、そのお客様が目指す姿を共有して最適なメイク方法とそれを実現する商品を紹介することです。言葉としてナチュラルメイクはあらゆるお客様が望むところですが、そのナチュラル=自然に見せるテクニックは美容部員・メイクアップアーチストというプロフェッショナルしか知り得ません。
◆ メイクアップの接客ポイント ◆
スキンケアとの違いは、悩みを解決というよりも「美的な演出」と「身だしなみ」という社会的な役割を持っていることです。メイクとファッションがバッチリ決まった日は、一日が楽しく充実して過ごせます。又、心理的にも大きな影響があり、自分に自信が持てる自己肯定感を高めたりストレス軽減の効果もあります。お店でメイクしてもらったときは満足できても、いざ商品を買って自宅でメイクするとなにかが違う・・・うまくできない・・・というお客様もいらっしゃいます。一番の接客ポイントは【ご自宅で自分で再現する】ために親身で丁寧なアドバイスをすることです。
会話を広げる方法について動画で解説しています
4.フレグランス製品の接客
自己演出の最後の仕上げとして、フレグランス=香水やオーデトワレなども化粧品売り場での取り扱いがあります。欧米では、毎日お風呂に入る習慣がないので体臭消しが主な目的だと言われています。昔、日本人は、香水をつけることを憚る文化がありましたが、今ではフレグランスを使う効果や満足感が理解されて、大分普及してきました。フレグランスは、リフレッシュ効果・ヒーリング効果が期待できるので他人向けではなく「自分の癒しのために」使うことをお客様に提案します。好きな香りを身にまとって、外出することを習慣にしてもらえるように香りのもたらす効果・日々の生活に取り入れるメリットをお伝えしましょう。そして、自分も他人にも快適な毎日が送れるよう正しいつけかたをデモンストレーションすることです。
※ つける場所・吹き付ける距離・下から上に上がる法則など

5.店長・マネージャーの役割
日々、様々なお客様が来店します。世代や性別も違うお客様への接客法も様々で正解は一つではありません。どのスタッフが接客しても同じ対応ができるように、そのお店のスタンダードを作り上げるのが店長やマネージャーの役割です。そのためには、すきま時間を見つけてできれば毎日ロールプレイングをすることが効果的です。時間は一つのケースで3分間もあれば十分です。いつも店長がお客様役ではなく、店長が美容部員役をやって手本を示すこともスタッフのモチベーションになります。そして、全員で成功事例の共有・情報交換をしてお互いのスキルアップを図ることです。店長業務でどんなに忙しくても、積極的に接客に入り、自店の顧客動向を知ることが最も重要な仕事です。
まとめ
いかがでしたか?化粧品の接客は本当に奥が深いものです。接客を必要としない販売スタイルのお店でも、困ったとき、悩んだときに相談に乗れるスタッフは必要です。お客様にワクワクする高揚感が提供できれば、そのお店に間違いなくリピートするでしょう。そして、美容部員=販売員ではなく、全てのお客様に人生を豊かに幸せにする化粧品の素晴らしさを伝える【アンバサダー】を育成していきましょう。
◆ ア・ソリューションの接客研修 ➡ 化粧品販売 | 株式会社ア・ソリューション
◆ 研修のお問合せはこちら
お問合せフォーム 株式会社ア・ソリューション (a-slt.co.jp)
☎ 03-6869-7600 受付時間 9:00~18:00(土日祝を除く)
お気軽にご相談ください。

