この記事の目次
株式会社 ア・ソリューション 代表取締役 高橋 伸枝
1.スタッフのマインド構築
売上を作っているのはスタッフではなくお客様である、という基本マインドが大切です。売るものは商品でなく、その会社・ブランドの魅力です。それがお客様に伝わって初めて商品に興味を持っていただけるのです。
❶ 接客が楽しいと感じられるか?
売上を伸ばそうと思ったらまず、第一印象をアップさせなければなりません。第一印象→ファーストコンタクト(アプローチ)→ニーズの確認などの販売テクニック。という流れですが何よりも利用してくれて嬉しいという気持ちがお客様に好印象を与えることにつながります。そして、お客様との会話を楽しむ。買うか買わないかを予測して態度を変えないこと。この2つさえあれば売上げはあとからついてきます。接客販売に必要なスキルは、売るためのテクニックではなく「コミュニケーション力」です。後日、サンキューレターを書くにもSNSや電子メールでコンタクトするのも、コミュニケーションスキルがあれば事務的でなく「思い」が伝わります。お客様との接点は点でなく「面」です。そこで働くスタッフがいつも笑顔で楽しそうにしていればお客様もリラックスして楽しめます。この仕事をしていなかったらこのお客様との出会いはなかった、大事にしようというマインド構築が重要なカギとなるのです。又、お客様にとって、最初に出会うスタッフがその会社・お店・ブランドの代表者と感じるのです。
❷ チームでもてなす
担当スタッフがどんなに感じが良くて親切でも、他のスタッフが無視しているようでは気分良く買い物ができません。そこにいるスタッフ全員で一人のお客様に気配りする必要があります。居心地がいいな、自分は大切に扱われているなと感じると自然と滞留時間も長くなります。滞留時間が長いと買上率もアップします。人が良ければ商品も良いと感じます。とは言っても、接客以外の付帯業務も多く、誰かが接客に入ると安心して書類を書いたり下を向いてお客様に意識を向けないケースがあります。付帯業務の文字通り、接客に付帯している業務なのでメインはお客様のはずです。お客様にとって、最初に出会うスタッフがその会社・お店・ブランドの代表者となります。忙しくてどうしても付帯業務を続けなければ仕事が回らないときは、せめて顔を上げて笑顔でご挨拶することが大切です。又、書類に没頭せず意識は常にお客様に向けておくことです。担当スタッフのサポートをしたり、レジを代行したり一人のお客様に他のスタッフも関わる「チーム接客」は何よりのホスピタリティなのです。
➌ 商品に自信を持つ
当たり前のことですが、すすめる人がその商品に自信がなければ売上を伸ばすことができません。実際に自分で使ってみることが一番の方法です。そして、どこがどういいのか?どんな場面で使えるか?他社とはどこが違うのか?がチェックポイントです。使ってみることができない物であれば、もし自分が買ったらどう使うだろう?とイマジネーションするしかありません。そして、自分とは使う世代が違ったり自分の好みでなかったとしても自社製品をしっかり理解して良い点を見つけることが必要です。とても良いとは思えない商品をお客様にすすめたとしたらどうなるでしょう。全く伝わりませんよね。無理をしたり嘘をつくことでもありません。会社からのマニュアルに書いてあることを棒読みしてもお客様には響きません。販売員は自分が好きなものが一番売れます。それは自分の言葉で語れるからです。好みかどうかでなく、対人関係でも同じことで、職場で苦手な人・嫌いな人とコミュニケーションを取らなかったら仕事になりませんよね。どんな人にもどんな商品にも必ずいいところがあるはずです。そして目の前のお客様にふさわしいものを一緒に選ぶというスタンスが売上を伸ばす秘訣です。
2.ターゲット層に合わせた接客法
どんなお店でもターゲットとする客層があります。20代~40代、50代以上あるいはもっと幅広い年齢層もあるでしょう。又、ビジネス向け・アウトドア派向け・冠婚葬祭など取り扱う商品やサービスによって様々です。
❶ 年代に合わせた話題と情報
年代によって必要な情報や内容は変わってきます。全てのお客様共通にお伝えすることは、来店への感謝の気持ちです。そのためには1.で述べたスタッフのマインド構築が大切です。20代~40代くらいのお客様の情報収集はやはり、SNS・インスタなどが主な手段です。50代以上であってもインターネットから情報を取得することが当たり前になっています。例えば、年代を問わずに使える化粧品をおすすめするとしましょう。20代のお客様に必要な情報は「お肌の保護と維持」50代のお客様なら「お肌のエイジング対策」など年代ごとに気になるポイントや知りたい情報は違います。洋服なら20代が大事にするポイントと、50代がこだわるポイントは異なります。その年代にとって何が大切か?を知った上で有益な情報と話題の提供をすることです。お店と何が違うかと言えば、そこには実物があって実際に手に取って体験できることです。実際につけてみる、着てみる、触って感触を確かめることができるのが店舗販売の強みです。そして、一番の強みはそこに専門のスタッフがいて効果的な使いかたのアドバイスをしてくれることに他なりません。お客様は自分にとって便利で使える情報しか望んでいないので、SNSでは得られない人対人の接客で世代に応じた話題作りがカギとなります。
❷ 来店時間帯に合わせた接客
1.開店してすぐのご来店・・・ハッキリとした目的買いの方が多い傾向にあります
2.午前中のご来店・・・仕事に行く前の時間を使って買い物にきた可能性があります
3.午後のご来店・・・仕事に行く前/休日の可能性もあります
4.夕方5時以降のご来店・・・仕事帰り/食事の待ち合わせ前の可能性があります
6.閉店間際にご来店・・・1同様に目的がハッキリとした買い物の可能性があります
これ以外にも、平日・祝日などでも来店するお客様のバックグランドはさまざまです。時間帯に応じていらっしゃいませ、の前後におはようございます・こんにちはなど一言を添えるだけでも場の雰囲気が和みます。ポイントは笑顔とアイコンタクトです。そして、1~5に合わせたお声かけをすることで、お客様との距離も縮まってスムーズな会話につながります。時間帯を意識してお客様を見ることで、急いでそうだなとかすぐに商品を手に取って見ているがプレゼントでも探しているのかな、などの様子にも気づくことができます。特に閉店間際の来店は、こちらも何かとやることが多くなる時間ですがきちんと接客態勢を取り「ごゆっくりお選びくださいね」と気遣いの一言も効果的です。
♦ クレームになりやすい時間帯 ♦
開店直後 | ● 付帯業務や掃除に気を取られてお客様に気づかない ● いらっしゃいませと言ったあと付帯業務に戻る ● 販売員が不在になる |
閉店間際 | ● チラチラと時計を見てそそくさとした態度になる ● 片づけ業務に気を取られてお客様に声をかけない ● いらっしゃいませと言わない |
➌ 来店頻度に合わせた個別対応
初めてご来店のお客様と複数回いらして下さるお客様それぞれに応じた接客応対が必要です。顔は分かるが名前が分からないときでも「いつもありがとうございます」と言えばお客様も気分がいいものです。
1.新規客
初めて来るお店は多少なりとも、お客様は緊張しています。どんなスタッフがいるんだろう、感じはいいかな、値段はどのくらいかな、あれこれすすめられないかな、など新規客の心理もさまざまです。リラックスしてゆっくり買い物を楽しんでもらえる雰囲気作りが大切です。笑顔で来店を歓迎することで、見るだけのつもりが思わず買ってしまうことにもつながります。初めて見るお客様だ、この人買うのかな・・・などと考えるとそれが表に出てしまいます。やはり、第一印象がその後のお買い上げに影響するのは言うまでもありません。
2.顧 客
購入未購入に関わらず何度も来てくださるお客様は本当にありがたいものです。いつもありがとうございます、の言葉に心がこもっていなければなりません。お客様は、歓迎されている。私を認識して声をかけてくれると感じると居心地の良さにつながります。カスタマーズカードなどがあれば、前回の購入商品やお客様との会話をもとに今回の来店目的に応じた対応をしましょう。単に覚えていてくれただけでも嬉しいものですが、せっかくデータがあるのなら「先日お求めいただいた〇〇の使い心地はいかがでしたか?」などとフォローしましょう。今日の新しいニーズにとらわれ過ぎて前回の復習をしないのは顧客として認識したことにはなりません。気に入ってるのは商品だけでなくスタッフの接客が良いから、という動機もあります。
3.ロイヤル顧客
ロイヤル顧客とは、自分だけでなく友人にもすすめてくれたり連れて来てくれる顧客のことです。上顧客の定義をたくさん買う人。高額品を買う人。と考えることも間違いではありませんが、たとえ1点安価な商品でも友人や知人にクチコミしてくださることは何よりの宣伝効果です。知り合いが良いというものなら安心して使えますよね。感謝の気持ちをどう伝えるか?どう表現するか?特別感を感じさせることが大切です。お客様はここで買っていて良かった、自分の気に入っているスタッフが喜んでくれることはお客様にとっても嬉しいことなのです。〇〇様だからこそ、〇〇様にだけは、○○様にこそというような特別感の演出を工夫しましょう。
3.CRMとマーケティングツールの活用
❶ 顧客データに基づくダイレクトマーケティング
CRMとはcustomer relationship Managementの略ですが、顧客との関係をマネジメントして売上げアップにつなげるにはそれをどのように活用していくかが大切です。顧客情報を作成、管理するCRMシステムは、さまざまなソフトウェアやコストセーブできるクラウド型もあります。いずれの方法でも顧客動向を知って、そこから個別にアプローチするダイレクトマーケティングの質が鍵となります。個別にアプローチと言っても一人ひとりという個別対応が可能な客数の店舗なら良いのですが、何万人という客数に個別対応は現実的ではありません。年齢層・地域などある程度絞り込んで、いくつかのブロックに分けて販促活動を行うことは可能です。顧客の傾向を知って商品開発に活かすこともCRMの目的です。将来的な計画と、今ある商品で速効的に売り上げを伸ばすことの2つを可能にするのがCRMシステムの活用です。つまり、現場での「人対人のマインド・テクニック」と「サポートシステムの両立」が売上を伸ばすことにつながります。まず、消費者の関心・興味のある商品やサービスを知って応えるダイレクトマーケティングのメリットを考えてみましょう。
❷ メールマーケティングの種類と活用
メールマーケティングとは?
メールマーケティングとは、電子メールを活用してお客様とコミュニケーションを図り商品やサービスを販売する戦略のことです。届いたメールを読むか読まないかはお客様が決めるため、いかに興味を引く内容にできるかが成功のカギです。
メールマーケティングの種類
1)メールマガジン ・・・会員登録した人に商品案内やお得なキャンペーンなどの情報を定期的に届けるメールです。登録者全員に同じ内容のメールを同じタイミングで配信するのが特徴です。登録解除されないよう新鮮味を意識する必要があります。
2)ステップメール ・・・段階的に配信するストーリー性のあるメールで、システムを使った自動送信が可能です。ご来店のお礼 → 新製品の情報 → 使用した人のレビューなど、興味・関心を段階的に高めていって最後に購入につなげることが特徴です。
3)ターゲティングメール ・・・お客様の年齢や性別、職業、行動などの属性に分けてその条件に合わせて最適と考えられる情報を届けるメールです。例として「流行に敏感な男性」「20〜30代女性」「東京都在住」などが挙げられます。女性用シューズのセール情報を男性には送らないなど、お客様の興味・関心に合わせた情報を届けられるため、開封される確率も高くなり、実際の売上アップにもつながりやすくなります。
メールマーケティングのポイント
- その他大勢ではなく「自分のための1通」だと感じるような内容にする
- タイトルを工夫して思わず開けたくなる内容にする
- 難しい言葉を避けて分かりやすく気軽に読めるように作成する
- 大量のメールや情報量が盛りだくさんだと迷惑に感じる可能性があるので頻度を考える
SNSとの違い
SNSが普及して今や、主流となりつつあります。SNSのメリットはリアルタイムに情報発信できることと、拡散力が高いことです。一方で、不特定多数の人に情報を届ける。毎日たくさんの情報が流れているので埋もれやすいということがあります。まずは消費者が「これは知り合いにも教えたい」と思えるような有益な情報発信です。次に、それをシェアしてくれるようなフォロワーを増やすことです。SNSで「メルマガ限定でお得なクーポンコードを配信」などと発信し、SNSからメルマガ登録に誘導する併用型も効果的です。
➌ DM(ダイレクトメール)の活用
DMとは、商品やキャンペーンなどをはがきや封書・電子メールなどを使って宣伝したり購入のお礼やフォローする方法です。インターネットの普及で電子メールやSNS配信が増えたものの、紙媒体ならではの良さもあり、マーケティングには欠かせない戦略です。又、Webを使わない層にもアプローチできます。はがきは、受け取ったと同時に情報を届けられます。封書は、カタログ・サンプルなど届けたい情報の量によって調節が可能です。紙媒体は手書きで一言コメントを添えればまさに個別対応で、特別感を感じる有効なアプローチとなります。但し、開封してみたいと思ってもらえなければそのまま捨てられてしまうこともあるのでデザインなどの工夫も必要となり、コストがかかるデメリットもあります。読ませる内容でなく文字で理解してもらうよう起承転結にすることが開封のポイントです。電子メールの場合は、一斉送信できるメリットや本文に自社のホームページのリンクを貼って誘導できるメリットもあります。
まとめ
いかがでしたか?売上を伸ばすには売る気持ちではなく「買う気持ち」になってお客様の目線で考えることが必要です。そして、商品を売るのでなくそのブランド・その商品の魅力を売るという考え方が売上アップのコツです。一過性の売上は作れても、使い続けてもらうためにはマインド・テクニック・個別対応をスキルアップすることが大切なのです。
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