この記事の目次
株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1.接客と接遇は似て非なるもの
お客様を快くお迎えして最後まで心地良く過ごしていただくためには、失礼のない対応で不快な思いをさせない接客マナーと、お客様におもてなしの気持ちで接する接遇スキルを身に付けることが必要です。接客業に欠かせないのは、「接客」がお客様に応対することなら「接遇」は一人ひとり異なるお客様への個別対応です。困っているお客様に気づいて素早くサポートするなど、何をどのように見る・気づく必要があるのか普段から心がけておくことです。
2.接客マナーとは何か?3つのポイント
接客マナーはお客様に失礼のないように守るべき礼儀であり、思いやりのある礼節とも言えるでしょう。言葉遣い・立ち居振る舞い・身だしなみから接客用語までひとくちにマナーと言っても多岐に亘ります。
ポイント1.言葉を用いたコミュニケーション
接客用語はお客さまを歓迎して店内にお迎えし、滞在中~帰るまで快適に過ごしていただくための言葉です。「いらっしゃいませ~」と語尾を伸ばすことなく、どのお客様に向かって言っているのか目を合わせて笑顔で挨拶しましょう。
接客8大用語を正しく使い分けましょう。
- ありがとうございます ・・・・・・ 声のトーンに感謝を乗せる
- いらっしゃいませ ・・・・・・ ようこそ!と心でつぶやく
- 恐れ入りますが ・・・・・・ お願いする気持ち
- お待たせいたしました ・・・・・・ お詫びの気持ち
- かしこまりました ・・・・・・ 間違いのない安心感を伝える
- 少々お待ちくださいませ ・・・・・・ 席を外すことを伝える
- 失礼いたします ・・・・・・ 了承を得る
- 申し訳ございません ・・・・・・ 反省の気持ち
それぞれの接客用語には言葉に思いを乗せることでお客様に伝わります。事務的にならないように気持ちを表すような声のトーンや大きさを意識して好印象を与えましょう。挨拶は、あ → あいをこめて い → いらっしゃいませと さ → さいしょに つ → つたえよう!
ポイント2.表情・態度・動作のコミュニケーション
言葉に思いを乗せるためにはそれを伝える時の表情や態度、動作が伴っていることが重要です。対人コミュニケーションの方法は、言語・非言語の2種類があります。メラビアンの法則では、話の内容は7%・声のトーンと速さが38%・態度/動作/表情は55%を占めています。接客業においては第一印象の決め手となる自分の表情を「演出」することが求められます。また、お辞儀の角度は気持ちを使える角度と言えます。会釈15度/敬礼30度/45度最敬礼の3つを使い分けて言葉の裏付けを動作で示しましょう。
● 接客マナーは1対1とは限らない ●
そのお店の印象を決めるのは担当したスタッフだけではありません。入店直後に感じる雰囲気が歓迎を表すものでなければなりません。口では「いらっしゃいませ」と言いながら付帯業務を続けたり、書類に夢中になってお客様に気づかなかった。スタッフ同士で話をしていて挨拶が遅れてしまうことのないように常に入り口に意識を向けておきましょう。そしてチーム全員で連携してお客様をもてなしましょう。
ポイント3.お店のクリンリネス
接客マナーの3つ目にお店のきれいさ、清潔感、整理整頓されていて見やすいか?ということも含まれます。働くスタッフがどんなに素晴らしい接客をしても店内の環境整備ができていなければ居心地の良いお店は作れません。開店前・閉店後のちょっとした気づきや気配りがお客様を快適にするだけでなく働くスタッフも気持ちよく仕事できますよね。
● 店内クリンリネス5アクション ●
- 整 理 ・・・・・・ 商品陳列/ディスプレイ
- 整 頓 ・・・・・・ レジ/カウンター周り
- 清 掃 ・・・・・・ 出入口/床
- 清 潔 ・・・・・・ ショーケース/什器
- 指 導 ・・・・・・ 全員で徹底
ショップ全体とスタッフの身だしなみはワンセットです。日々チェックしましょう。
3.接遇とは何か?マナーとの違い
接客マナーとの大きな違いは「おもてなしの対応」という点です。ホスピタリティイコールおもてなし、という解釈が浸透して大分経ちます。マナーよりももっと広い意味で使われます。マナーとおもてなしの2つが提供できれば顧客が増えることは言うまでもないでしょう。
◆ サービス&ホスピタリティ ◆
接客マナーが「サービス」だとしたら接遇は「ホスピタリティ」だと言えます。誰にでもどんな人にでも同じように画一的なサービスは、接客業基本の「き」です。一人ひとり異なるお客様への個別対応こそ、接遇つまりおもてなしの待遇なのです。
では、何を?どんなことを提供すべきでしょうか?
◆ 接遇に必要な3大要素 ◆
- 目配り・気配り・心配り
- 共有・共感・共通点
- 3ないタブー
1.目配り・気配り・心配り ・・・・・・ お客様の様子を「見て気づいて行動する」ことに他なりません。何度も時計を見て時間を気にしていればお急ぎかもしれない。とか、重たそうな荷物を何度も持ち直している。など、お客様を漠然と見ずに何か手伝えることはないかな・・という気持ちでいれば自然と分かりますよね。
2.共有・共感・共通 ・・・・・・ 共有なくして共感なし、です。次に何を言おうかなどと考えながらでなく、お客様の話は無心で聞きましょう。無心で聞くことでお客様との共通点が見つかったり、ご要望に沿った提案が可能になります。
3.3ないタブー ・・・・・・ ありません・知りません・できませんを3つのタブーと位置づけます。それはありませんがこれならあります、と代替案の提案をしましょう。それは分かりかねますので確認してまいります、と分かるスタッフに聞いてでもちゃんと正確に答えましょう。それはできませんがこの方法ではいかがでしょうか?と選択肢を提供しましょう。
まとめ
いかがでしたか?接客マナーも接遇も「相手を思いやる気持ち」から生まれます。失礼があってはいけないと思いすぎて親しみやすさがなくなるのも良いことではありませんよね。堅苦しく考えるのでなく、ようこそ来てくださいました!という素直な気持ちが言葉や表情に自然と出るものではないでしょうか。常に感謝の心で、プロとしての「演出」自分をプロデュースしてみてはいかがでしょう?それもまた仕事が楽しくなるコツではないかと思っています。言葉遣いは心づかい。声のトーンは心の表情だと言えるのではないでしょうか?
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