この記事の目次
リーダーシップとは何か
株式会社 ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1.リーダーの役割
リーダーとは「目標に向かってメンバーを導く人」です。導く、ということは自らが当事者として動かなければなりません。何のために、何をして、どこに向かうのか?目的と目標をきちんと掲げることです。そのためには、一人ひとり個々の能力を引出し、更なる成長を促してチームを健全に機能させることもリーダーの役割です。そして、メンバー全員に仕事の楽しみや遣り甲斐を感じさせることができればモチベーションが継続して、企業も人も成長することは言うまでもありませんよね。
2.リーダーの心構え
自分のお店・会社の顧客と直接関わり、今どんなお客様が来ているのか?顧客は何を求めているのか?などについて知っておく必要があります。そうでないと、目標を達成するための対策やアイディアも浮かびませんよね。また、リーダー自身がいちプレーヤーとして活動してメンバーにお手本を示すことで部下育成ができるだけでなく、一体感が生まれて強いチームが作れます。
リーダーはプレイングマネージャー
現場に一緒に出向く、お店で一緒に接客するなどOJTでの活動を通じてメンバーに背中を見せることで部下育成にも結びつきます。成功例も失敗例も共有すれば、メンバーはそこから学びます。そしてもう一つの大きなメリットがあります。それは、信頼関係の構築です。やるべき業務が多岐に亘って忙しくても、出来るだけ現場で活動することでメンバーの悩みにも的確なアドバイスが可能になるのです。
3.リーダーシップ4つの要素
1.ビジョン策定力
ビジョンとは構想とか未来図という意味ですが、ここでは「将来のあるべき姿」としてお話します。目の前の目標と結果だけを捉えていては、その先にある目的を果たすことができません。立てた目標を一つひとつクリアした先に「あるべき姿」が存在します。そのためには、戦略・方針を決めて計画を立てる実現プランニングを設計することが必要です。目的=ビジョンから見て、手段は適切か?もっと他に方法はないか?など、振り返り・立ち止まり・工夫する姿勢が求められます。
2.問題発見力
問題とは、目標達成の阻害要因です。何が問題かをいち早く見つけてそれを解消する課題を考える。そのために必要なのは「先見性」です。先を見通す、という意味ですが長年の経験から、あるいはなんとなく漠然と想像する、ではなく問題を想定することです。それは今は問題がなくても、これから「もし、問題が起きるとしたらどんなことがあるか?」という考え方です。ない前提に立つのでなく、ある前提に立つことで気づくことができます。想定の邪魔をするものは思い込みと先入観。この2つこそが、問題発見を遅らせる阻害要因とも言えるのです。過去の経験だけに頼らず、常に客観的な視点を持ちましょう。
3.課題実行力
目標達成に向けて、まず課題を設定します。2.で述べたように問題とは現状と目標のギャップです。そのギャップを埋めるために課題を設定します。何を、どのように行えば良いのか?その課題をクリアするために様々な「施策・対策」を用意します。
例えば・・・・・
- 在庫を確認する時間がかかりすぎてお客様のクレームが多い → これは問題でしょうか?課題でしょうか?そうです。問題です。
- 時間をかけずに確認できるようその場で在庫が見れるシステム改善を行う → これが課題となります。
- 新製品の納品日をもっと明確にするべきだ → これは問題でしょうか?課題でしょうか?そうです。これは課題です。
- 新製品の納品日が分からないとお客様に迷惑がかかる → これが4.の問題となります。
リーダーは、課題クリアのために様々な施策・対策の中からふさわしいと思うものを「判断」して「実行」に移す責任者と言えます。メンバー全員で協力し合うために重要なことがあります。それは、全員が「同じ理解」をすることです。問題の認識・課題の共有のためには分かりやすい言葉で伝える必要があります。そうすれば、メンバーは納得して動くことができますよね。問題を理解させること、課題実行に協力させること。これがリーダーの課題実行力と言えるでしょう。
4.コミュニケーション力
大切なのは、メンバーとの信頼関係を築くためのコミュニケーションです。一人ひとりと向き合って指導することはもちろんですが、時には悩みの相談に乗ったり、雑談することも必要です。指示するだけでなく、主体的に動くメンバーを育てていくためにはより良い人間関係が重要なカギです。部下育成というよりは、部下が勝手に育つ環境を作ることが理想であり、目指したいことですよね。勝手に、とは放置することではありません。日々の活動をちゃんと見てこそ、効果的に褒めたり叱ったりできます。メンバーの人数が多い、シフトが合わないなどの理由で全員を見てあげることが物理的に難しければ、定期的に報告させる習慣をつければ良いのです。営業中のほんの数分で構いません。ちゃんと見てるよ、ということが伝われば安心して仕事できるだけでなく、見られているな、と思えば程よい緊張感にも結びつきます。正しいフィードバックこそが「勝手に育つ部下」につながるのです。
コミュニケーションの取りかた
休憩時間を利用したり、バックヤードで一緒に作業しながらだったり、すきま時間を工夫しましょう。コミュニケーションを取らなければ・・・と意識するだけでなく具体的に、いつ?どこで?何分?と、ワークスケジュールにあらかじめ組み入れるようにしましょう。コミュニケーションとは自分の考え・思いを相手に正しく伝えて相手の気持ち・思いを正しく理解する重要なスキルです。
4.リーダーシップのスキルアップ
目標、という目指す旗をかかげてメンバーを巻き込んで導くためには地位でもなければ命令でもありません。文字通り、リードするスキルを磨くことが大切です。
- 目的意識の共有・・・全員に分かりやすく自分の言葉で伝える
- 情報開示と共有・・・タイムリーに伝えるための仕組みを作る
- 自己肯定と存在感・・・行動を承認して役に立った満足感と自分は必要な存在だと感じさせる
- 過程のフィードバック・・・各自の業績の途中経過をチェック&報告させて本人が抱える問題や悩みを共有しアドバイスする(本人から答えを引出すコーチング)
- 進捗状況の明確化・・・目標に対して今どのあたりにいるのか、残りはどのくらいかを伝 えて頑張りを具体化する
- 感情コントロール・・・自分の状態を客観的に見て一人で抱え込まずに上司に相談する
この6つのスキルを磨くことで4.であげたコミュニケーション力もアップします。メンバーをうまく巻き込んで成果をあげるには、各メンバーが今、自分に期待されていることは何か?これまでの仕事をどう評価されているのか?今のやりかたでいいのか?などを明示すれば仕事を「やらされている」のではなく、自発的・主体的に動いてくれることでしょう。
まとめ
いかがでしたか?リーダーとして自分もメンバーも活躍する舞台を作ることがリーダーシップの発揮です。その舞台を作るには業務分担の見直し、調整、皆の足並みを揃える職場の風土作りといった環境整備が必要です。リーダーの責任はメンバーと分かち合えませんが、プレッシャーはメンバーと共有することができるのではないでしょうか。重圧を重圧で返さないよう、「一緒に」達成感を味わえる「仕掛け」「仕組み」を考えてみましょう。そして、リーダーとはチームを奮い立たせる「盛り上げ役」でもあります。それがコミュニケーションの円滑化とチーム活性化にも結びつく重要なカギなのです。
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