管理職研修の目的

管理者・管理職と言ってもその職責の範囲や決裁権の有無など様々です。 トップマネジメント(最高経営者層)と現場をつなぐミドルマネジメント(中間管理職)の層は非常に重要な役割を担っています。 管理職として共通の任務は組織の目標達成・活性化のためにメンバーを率いてプロジェクトを遂行することです。管理職は一定の責任と権限を持ち、独自の判断で部下に指示を出す事ができます。その役割を果たすには業務スキルだけでなく。人を動かすコミュニケーション力、何よりもヒューマンスキルを磨くことが必要です。組織やチームを健全な状態に導くために必要なスキルを習得したりブラッシュアップすることに加えて自他共に高いモチベーションを継続するマインドを育成することが研修の目的です。

株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋 伸枝

1.管理職研修の種類

会社によって役職や役割は異なります。組織の職位が課長や係長であっても、その呼称は様々です。その「呼称」から読み取れる職務・職責が本人の自覚につながる要素もあるようです。ここでは、その一部を紹介します。

❶ 店舗責任者・ショップマネージャー向け

ショップの管理運営・部下育成に必要なマネジメントスキルを習得します。売上目標を達成するために、適切な在庫管理から売上データ管理や分析を行います。プレイングマネージャーの場合は高度な接客技術でメンバーの手本見本となると共に、自らも売上に貢献します。メンバーが互いに協力し合って目標達成するための高いコミュニケーション能力と計数管理能力を養います。

❷ エリアマネージャー・プロジェクトマネージャー向け

担当エリアの複数店舗を統括する管理者として必要なマネジメントスキルを習得します。店舗運営の改善指示や、マーケティング企画など本社の方針に沿って現場に周知徹底させることが必要です。人を引っ張っていくリーダーシップ能力に加えて、 外部の取引関係者との友好な関係構築のために高いコミュニケーション能力を養います。

➌ グループリーダー・チームリーダー・プロジェクトリーダー向け

自分のグループのメンバーを率いて、チーム一丸となり目標に向かうリーダーシップスキルを習得します。各メンバー個々の能力を活かし適材適所の人員配置で役割分担を行い、メンバーが常に成長するための指導力が必要です。メンバーのモチベーション管理能力と高いコミュニケーション能力を養います。


2.おすすめのプログラム

「管理職の心構え」の基礎知識から「目標管理」「部下育成」など種類やジャンルがたくさんあります。そのポジションに与えられた任務を果たすことに必要なスキルを身に付けるだけでなく、メンバーとの信頼関係を構築することがどの役職にも共通して求められます。

2-1 カリキュラム一例


役 職    カリキュラム
店舗責任者
ショップマネージャー
●ショップマネージャーの役割と心構え
●社内外のコミュニケーション
●目標管理のPDCA
●OJTコーチング
エリアマネージャー
プロジェクトマネージャー
◆情報共有と情報開示のしかた
◆問題解決手法
◆社内外のコミュニケーション
◆目標達成に向けた適切なKPI
グループリーダー
チームリーダー
プロジェクトリーダー
■リーダーに必要な3大要素
■業務効率化の方法
■リーダーシップとは何か
■メンバーの適材適所の見極めかた
※ ほんの一部を紹介しています

2-2 研修プログラム

テーマ・参加人数によって所要時間は変わります。集中力を高めて積極的に参加できる環境と時間配分が大切です。また、一方通行でなく講師と参加者がやり取りできる全員参加型になる工夫が必要です。グループワークなどは、普段あまり会えない同じポジションの人たちとの情報交換・情報共有も研修の大きな目的です。ディスカッションでの講師の役割は参加者自らが答えを導き出せるよう※ファシリテーターとしてサポートします。
※ ファシリテーター:中立的な立場から参加者全員を巻き込みながら話し合いが効率的に進行するようにサポートする進行役

<プログラム一例>

時間 内容手法
10:00-10:15今日のテーマと目的講師挨拶
10:15-11:15事前アンケート発表&フィードバック各自&講師
11:15-12:001.セルフマネジメント講 義
12:00-13:00ランチタイム
13:00-14:002.スタッフマネジメント(コーチング)講 義
グループワーク
14:00-15:003.プロジェクトマネジメント講 義/個人ワーク
15:00-16:304.コミュニケーションスキルアップロープレ
16:30-17:00まとめ・質疑応答
※ 休憩適宜
※ 事前アンケートは必要に応じて実施
※ テーマ/人数によって3回コースなど複数回実施


3.管理職研修を取り入れている会社の事例

計数管理などについてはある程度マニュアル化されていることが多く、各自が勉強することである程度身に付きます。業務スキルに関しては研修というより日々の業務を通じて、実際の業務を遂行する中で経験を重ねて理解が深まる分野でもあります。管理職研修で必要なことはメンバーと共同して目標達成するための対人コミュニケーション技術や先見力・問題解決能力を養うことです。

A社の一例

● 社内の昇格人事により30代前半の若手社員がマネージャー職に就いたので、そもそも管理職とは何か?を学ばせて士気を高めたい。自分以外の人の意見や考えを聞いて自分のマネジメントスタイルを確立して欲しい。

主な研修テーマ        得られた効果
自己の役割とミッション  自己分析による強みと弱みの把握  
社内外の円滑な
コミュニケーション 
現場志向に偏っていたのが社外の関係者の大切さが理解できて広い視野が持てるようになった
自己分析による
強みと弱みの把握  
強みを活かして弱みを克服する意識改革につながった
セルフマネジメント  自己管理能力が養われ業務効率がアップした

B社の一例

● 新規オープンに伴い幹部クラスの新規採用と店長の人事異動を同時に行った。幹部クラスはマネジメント経験がある人材だが、店長は年齢やキャリアもバラバラで業績にもバラつきがある。本部と現場の橋渡しがスムーズにいくように階層別研修を実施したい。新規採用のメンバーと既存メンバーとのコミュニケーションも円滑にしたい。

幹部クラス実施例       得られた効果
チームマネジメント  適材適所の人員配置でチーム力が上がった
ロジカルシンキング問題の根本原因を突き止めて実行プランに落とし込むことができるようになった
フィードバックスキル 評価と通常業務の中でのフィードバックを区別して具体的なアドバイス手法が身に付いた
アンガーマネジメント  感情コントロールができるようになりメンバーのモチベーションが上がった
問題解決手法   課題克服のための具体策が明確でそれをチーム全員で共有・実行できるようになった

店長実施例         得られた効果
チームモチベーション  各メンバーが自分の役割を理解してお互い に協力し合える体制が作れた
OJTコーチング 一人ひとりの育成プランに基づいたコーチングで個人の実績が向上している
目標管理のPDCA  PDCAサイクルを回す中でプロセス管理ができるようになり軌道修正力が身に付いた
部下面談手法   評価面談・日々のコミュニケーション面談の使い分けと時間配分ができるようになった

まとめ

いかがでしたか?ひとくちに管理職と言っても、置かれた状況や責任の重さ、プロジェクトの大小などは様々です。社員を活用して目標達成するだけでなく、やりがいや働く楽しみも同時に提供することが最も重要です。また、長年管理職をやっているとどうしてもマンネリ化したり、思い込みと先入観が邪魔をする不具合も起きてきます。そんな時こそ、管理職向けの研修が必要です。

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