この記事の目次
株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1.成長をサポートする
ポイント1・自分の意思で成長させる
上司が部下に「なって欲しい姿」を提示することは大切です。しかし、それ以上に部下自身が自分の「なりたい姿」を描くことが成長につながります。目標管理手法としてMBOが導入されて大分経ちます。仕事である以上、業績評価は絶対ですので上司との擦り合わせがうまくいけばモチベーション高く頑張れます。そのためには、部下自身が自分の「強み・弱み」を自覚する必要があります。上司に指摘されたことに、今一つピンとこないまま「頑張ります」と言ったところで成果には結びつかないですよね。そこには本気の具体策がありません。強みを活かして弱みを克服するのは言うまでもありませんが、上司から見た部下の強み・弱みと、自分ではどう感じているか?本人の自覚が必ずしも同じとは限りません。また、言うことを聞かせようとすればするほど部下は成長しません。自分の意思で動いてもらうために部下の自覚と意思を引出すことが上司の役割と言えるのではないでしょうか。
ポイント2.教わりかたを教える
人材育成の手法として、ティーチングとコーチングが比較されます。教えることと気づきを促して行動させることの2つですね。ティーチングなくしていきなりコーチングを語ってもうまくいきません。とは言え、教えてばかりでは、時間もかかるし指示待ちで依存心の強い部下が育ってしまいます。ヒマな時間帯にただ立っているだけ、なので「どうして自分で仕事を見つけて動いてくれないんだろう」と悩む上司も多いかと思います。部下の気持ちは「だって聞いてないから、言われてないから」ということが多いようです。ここではあえて、ティーチングの効果的な方法に絞ってお伝えします。
教わりかたのStep5
Step1 上司の仕事に同席させる ・・・ヘルプ・サポートさせながら体験させる
Step2 その感想を聞く ・・・感じたことを具体的に言わせる
Step3 感想にフィードバックする ・・・仕事の意味を理解したか確かめる
Step4 自分がやるべきことを聞く ・・・役割を明確に理解させる
Step5 行動レベルに落とし込む ・・・明日から何をどうするかを整理する
このように、体験・体感することで言葉ではなく「体」で覚えることで自分のやるべき仕事を明確にすることができます。メインの仕事が終わっても手のあいた時間に何をすべきかをStep5で擦り合わせておけば「聞いてません」ということにはなりませんよね。その場その場で伝えたとしても根本的な解決にはなりません。新しいプロジェクトに取り組むときは特に、Step1~5を繰り返すことで覚える習慣が身に付きます。
ポイント3.報告・連絡・相談のスキルアップ
仕事は報告によって終了したとみなされます。上司は報告がないと、仕事の状況や結果がわからず次の仕事の段取りができません。正しい報告のしかたを身につけてもらいましょう。
報連相7つのポイント
1.途中経過の報告は頻繁にする
仕事が長期にわたる時/問題が起きた時/ミスをした時/状況が大きく変わった時
結果の見通しがついた時など
2.報告は早めにする
仕事が終わったら、催促されないうちに報告して次に備える
3.報告や連絡は命令や指示を出した人にする
基本的には頼んだ相手に直接報告する
4.報告は結論から先に伝える
報告はまず結論から先に話して説明し、自分の考えや意見は後にする
5.正確な報告をする
憶測や感情的な報告は避けて、信頼のおける報告をする
6.明確かつ簡潔な報告をする
相手が理解しやすいように、具体的な事実を簡潔にまとめて説明する
7.相談は積極的に行い、結論でなくヒントを求める
相手の都合やタイミングを考えるのがマナー 。相談内容はきちんと整理して短時間で済むようにするのがエチケット
報告の時間は絶好のコミュニケーション
日々、業務に追われてなかなかゆっくり話す時間が取れませんよね。そんなとき、部下からの報告の時間はとても貴重なコミュニケーションタイムです。他にはない?と雑談の中から課題がみつかることもあります。たとえ数分でも積極的に耳を傾けて「ありがとう」の言葉を添えましょう。
2.「分かりました」を分析する
部下とミーティングしたり、指示を出したりという場面で「分かりました」と言っているのに間違える。ミスをする。分かってないじゃないか!とガッカリすることはよくあります。実は、分かりましたという一言には段階があるのです。そのときの表情や口調で、分かってないな・・と感じることもあり、それならその場で確認が可能ですよね。でも、あとになって「あのミーティングは何だったのか?」ということもありますよね。
分かりましたの5段階
ただ単に言葉を聞いた ・・・・音として耳で聞いた 【 耳 】
言葉の意味が分かった ・・・・その意味が理解できた 【意味】
何が言いたいのか分かった ・・・・真意が理解できた 【真意】
必要性が分かった ・・・・必要性が理解できて納得した 【納得】
行動に移せた ・・・・納得したので行動に反映できた【実行】
このように、相手が分かりましたと言ったから大丈夫!と安心するためには意味や真意が伝わるように、話の内容を組み立てることが大切です。そして、ミーティングの最後は部下に何をどうするのか「まとめさせる」ことで理解度を確かめることが可能です。
3.部下の成長を妨げる要因とは?
ここまで、部下が自分で成長しようと思える要因をお話してきました。部下に限らず、人は自分自身が育ちたい・成長したいと思わなければ伸びないものです。その思いから、創意工夫が生まれて達成感につながります。その達成感は他人に認めてもらうことで更に高まり、成長し続けることができますよね。せっかく、成長したいと思っても知らず知らずに妨げてしまう場合もあります。
部下が成長しないパターン
- 上司が全て行ってしまい部下の出番がない、少ない
- 小さなミスを見逃したり、簡単に許してしまう
- ほめてばかりで叱れない
- 叱ってばかりでほめられない
- 方針が徹底していない
- やっている途中で手を貸してしまい、任せきれない
- 報告・連絡・相談を怠る、させない
- 必要な情報を与えていない
- 仕事の期日が過ぎても問題にしない
- 決めたことを継続・徹底しない
- 目標が見えない
- 数値目標を与えていない
この12項目で当てはまることがあるかどうか、一度振り返ってみましょう。任せるのが心配で途中で手を貸してしまい任せきれないと、部下の成長は止まってしまいます。失敗から学ぶことも成功の秘訣です。絶対に失敗が許されない仕事は、ベテランとペアで担当させるなどの工夫が必要です。甘さと優しさ、怖さと厳しさは紙一重です。ミスを安易に見逃さず、良いことをしたらほめる、という一見当たり前に見えることが意外とできていない場合があるようです。
まとめ
いかがでしたか?部下育成という壮大なテーマには、ここまで述べてきた3つのコツ以外にもたくさんの方法があります。時代の変化と共に、マネジメント手法も変化します。先輩の背中を見て育つ、ということも部下側に「見て学ぶ気」があってこその賜物です。また、自分ができることが他人にもできるとは限りませんよね。どうしても、自分と同じように考え、行動し、結果を求めてしまいがちです。価値観も優先順位も異なる中、それ等を一致させるには「話し合い」しかありません。話し合っているはずが、途中から説得・説教になってしまっては上記でお伝えした「分かりました」とは言うものの、分かっていない部下を作ってしまいます。人が成長する一番の条件は、本人が成長したいと思うことに他なりません。
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