この記事の目次
ファーストアプローチの基本
株式会社 ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1.ファーストアプローチとは何か?
1.いつでもお客様をサポートしますよ、というメッセージ
いらっしゃいませ、という声かけはアプローチでなく「あいさつ」です。アプローチとはあいさつの次のステップで、ここで快適に過ごせるよう、欲しいものに巡り合えるようお手伝いしますよという最初のメッセージです。声をかけられたくないのでは?嫌がられるのでは?と心配になることも多いですよね。しかし「自由に見ていただくこと」と「放置すること」は全く違います。声かけが嫌だと感じていたとしても「無視」されるのは気分がいいものではありませんよね。
2.では、どんなアプローチが必要なのでしょう?
歓迎を表すあいさつの後に、最初にかける一言トークが大切です。お客様の動き・視線・様子に合わせていくつかバリエーションがあります。お客様のことに気づいていますよ、必要な時に必要なことをお手伝いしますね、という思いを伝えることがアプローチの目的です。イヤホンをつけたまま来店したり、話しかけても答えないお客様には「つかず離れず」の距離で見守るのが良いでしょう。ただし、意識と目線は常にお客様の方に向けておかなければなりません。気づかないうちに帰ってしまった、ということにならないよう又タイミングを見逃してしまい、放っておかれた感じの悪いお店。と勘違いされないよう気を付けましょう。
2.アプローチテクニック3つのポイントとは?
1.声をかける位置
1.背後から声をかけない ・・・・・ 恐怖を感じる空間
2.真正面から声をかけない ・・・・・ 緊張する空間
3.視界に入る斜めから声をかける ・・・・・ 親しみの空間
まず最初に、どんな言葉で声をかけるかよりも、どの場所から声をかけるかを考えましょう。スタッフが自分の方へ近づいて来たな・・・とお客様にも心の準備が必要ですよね。いきなり背後から声をかけられたら、ビックリするだけでなく、ずっと見られていることにプレッシャーを感じてしまいます。あまり近づきすぎず、約2メートルくらい離れた位置が思いやりの距離感です。
2.声をかけるタイミング
- お客様が商品に手をかけていろいろと見ているとき
- キョロキョロと何か探している様子のとき
- 一旦、離れて同じ場所/商品のところに戻ったとき
- お客様と目が合ったとき
- 商品を鏡の前で合わせているとき
この5つのタイミングは必ず声をかけましょう。タイミングといっても秒数では計れません。何故ならば、この5つは入店してからどのくらい経ってからか?が、お客様ごとに異なるからです。特に、お客様と目が合ったのに無言で会釈だけしてアプローチしないのは、自分に興味がないのかな・・・買わないと思われたのかな・・・と誤解される可能性もあります。何がベストタイミングか?は、最後まで分からないものですが上記のように自分なりの基準を持っておけば安心してアプローチできますよね。一概には言えませんが、お客様の入店から大体30秒前後を目安に考えましょう。
3.声をかける言葉
2.の声をかけるタイミングによって言葉も変わってきますが、代表的な5つのパターンを紹介します。質問形式のものと、プレゼン形式の2種類があります。どちらもポイントは「短い文章で」という点です。アプローチの段階ではオープンクエスチョンでなくクローズドクエスチョンを使ってお客様の負担にならないようにしましょう。
※ オープンクエスチョンとは相手が文章で答える質問/クローズドクエスチョンはハイかイイエで答える質問
- お気に召したものはございますか? ・・・差しさわりのないトーク
- そちらの〇〇はリバーシブルなんです! ・・・興味を促すトーク
- 是非、お召しになって着心地をお確かめください ・・・試着を促すトーク
- 何か贈り物でございますか? ・・・用途を伺うトーク
- ご一緒にお選びいたしましょうか? ・・・お手伝いしますよトーク
ファーストアプローチについて動画で解説しています
3.アプローチでやってはいけないこと
アプローチとは直訳すると、近づく・接近するという意味です。接客販売におけるアプローチの目的は「会話のきっかけ作り」であると言えます。その段階でやるべきでないことは以下の3つです。お客様とスムーズに会話してニーズを引出すには、最初の段階で好印象を持っていただく必要があります。
1.商品説明を始める ・・・見ていた商品の特徴などを一方的に話す
2.質問攻めにする ・・・目的を知ろうとしてあれこれ質問をする
3.お客様に呼ばれたら行く ・・・お客様の方から声をかけられるのを待つ
接客販売にはステップがあります。その商品にズバリの興味があるわけではなく、何気なくちょっと見ていただけということが多々あります。特に買いたいものが決まっていないけど「何かいいものがあれば・・・」という気持ちで入店することもありますよね。そんな時に、これはですね、そちらはですね、といちいち説明されたら混乱してしまいます。又、そういう経験があるお客様がトラウマになって声かけを嫌がるとしたら残念でしかありませんよね。いきなり商品説明を始めないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?ちょっと見るだけのつもりのお客様がつい、ゆっくりしてしまった。その結果、購買意欲が湧いた。居心地が良いお店なのでまた行こう!と思ってもらえたらこんな嬉しいことはありませんよね。販売テクニックを考える前に接客の最初のステップであるファーストアプローチをもう一度見直してみませんか?心をこめたお出迎えの挨拶と負担にならないタイミングの良いアプローチを区別して、お客様にとって入りやすくて見やすいお店を演出しましょう。
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