この記事の目次
株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1.何故、表情の演出が必要なのか?
どうして表情を演出すべきなのでしょう。それは、表情とは「無意識のうちに表れる」からです。無意識を意識に変えることが「演出」です。言っていることやその内容の裏付けが表情であると言っても過言ではありません。たとえば、お客様がなにかで喜んでいるとしましょう。その話を聞く表情が真顔だったらどう感じますか?また、お客様が困っていたり怒っているとき、笑顔で聞くことはないですよね。風邪を引いてマスクをしている時、どうせ見えないからと手抜きをしてはいけません。お客様には見えています。メガネをかけている時、メガネのフレームによってはかけていないときの倍くらいの気遣いが必要です。目は口ほどにものを言う、という言葉があるように表情の中でも「目」が重要なカギとなるのです。
2.どんな場面でどんな表情の演出が必要か?
洋服、化粧品ほかの物販業でも飲食店・ホテルなどであっても共通して接客には様々なシチュエーションがあります。その場面ごとに起こり得る状況を簡単にまとめてみます。
1.お出迎えするとき
いらっしゃいませ。こんにちは。おはようございます。など、最初の挨拶はお客様が抱く第一印象を決定づける重要なシーンです。ここが失敗すると途中で回復させることが難しくなります。一度抱いた良くない印象は余程のことがない限り払拭されません。
ポイント1.どこからお客様が来てもいいように口角をあげて笑顔の準備をしましょう
ポイント2.お客様がこちらを見ていなくても笑顔でご挨拶しましょう
ポイント3.出勤前に人差し指~薬指の3本を両頬にあててぐるぐると優しくマッサージして頬の筋肉を緩めましょう
2.アプローチの段階
ご挨拶の次のステップ。ご一緒にお選びいたしましょうか?とか、お決まりになりましたらお呼びくださいなどなんらかをこちらから申し出て会話のきっかけを作る場面です。また、お客様の方から「ちょっといいですか?」と呼ばれることもアプローチのステップです。この時、どんな表情を演出すべきでしょうか?注意すべきなのは、「お決まりになりましたらお呼びくださいね」と一方的に伝えて一旦その場を離れるときの表情です。レストランでよく目にする光景ですが、物販でも使いますよね。
ポイント1.入店の次のステップなのでここは居心地がいいかどうかの判断に繋がります
ポイント2.お客様と目が合わなくても真顔で言わないようにしましょう
ポイント3.お出迎えの笑顔がレベル10とするとアプローチではレベル7くらいの笑顔がいいでしょう
笑顔の演出とは?
スタッフが笑顔で対応すると商品まで活き活きと輝いて見えるものです。無意識を意識に変えるとは、笑顔を演出するということです。お買い上げが決まってから急に笑顔を作っても遅すぎます。お客様が滞在中は意識してレベルを1~10段階まで設定して笑顔の程度を使い分けましょう。
3.クレームや不機嫌そうなお客様
商品に不具合があってご来店のお客様や、途中やむを得ずお待たせしたことで不機嫌そうな顔をしているお客様にはどんな表情で対応すべきでしょうか?もちろん、笑顔で接客するなどあり得ませんよね。表情というものは、自分の思いや心のありようが表に出るものです。「申し訳ございません」というその言葉に気持ちが伴っていなければなりません。
ポイント1.お客様も同じ人間なのでその表情を見逃さないことが重要です
ポイント2.お客様がクレームを言っているとき、聞いている表情を演出しましょう
※ お客様の表情にペーシングします。これをミラーリングと言います。
ポイント3.お客様の表情がゆるんできたら、それに合わせてレベル1~2の笑顔で返しましょう
4.お見送り・会計
接客のラストシーンです。ここで過ごした時間に対して、価値を感じていただけるか否かの重要な場面です。来て良かった、又来ようと思っていただけるような記憶に残る表情を演出しましょう。
ポイント1.お買い上げの有無にかかわらずご来店下さった感謝の気持ちを表情で伝えましょう
ポイント2.どんなに忙しくてもお客様の方を向いて表情を演出しましょう
※ 混雑していてゆっくりお見送りできないときは「ありがとうございました、是非またお待ちしております」の言葉に申し訳ない表情を添えましょう
ポイント3.レジでのお支払いが終わったらレベル8の笑顔で再来店を促しましょう
3.表情と声の深い関係
表情と声はとても深い関係があります。明るい表情からは快活な声が出ます。暗い表情だと声も小さくなりがちです。表情が豊かな人は心も広く感じるものです。お客様でも無表情の人はいますが、お店のスタッフが明るいとつられてお客様まで笑顔になって帰るシーンをよくみかけます。
★ 目元・口元の演出
目元と口元、どちらを先に意識すればいいのでしょう?答えは目元です。たまに「目が笑っていない」ということを耳にしますが、目だけ笑って口が動かないということはありませんよね?目が笑うと口が引っ張られて口角が上がります。そのときの声を自分でチェックしてみましょう。声の表情まで自然と明るくなっていませんか?声の表情とは「声のトーンとメリハリ」です。真顔で言う「いらっしゃいませ」と目を意識した笑顔で「いらっしゃいませ」と言う比較をすると分かりやすいです。
★ 真顔の演出
真顔にも演出が可能です。なにも感じないような無機質な真顔は接客業では使いません。演出が必要なのは、お客様が怒っているときや何にするか迷っているときなどにペースを合わせて共感的理解を伝えるためにペーシングするときです。悲しそうな目、悩んでいる目からは声も静かに落ちついたトーンになります。悲しそうな目を作って口角があがることはありませんよね。怒っているときの目は、口角が下がります。しかし、お客様が怒っていたとしても、スタッフ側が怒る表情を演出する場面はありません。そんなときは真剣な目を演出しましょう。自分で鏡を見ながら「目で思いを表す練習」を試してみると明日からの表情演出がスムーズになります。
まとめ
いかがでしたか?接客マナーの原点は表情の演出です。マナーというと失礼があってはいけない、そつのない対応を、と考えがちですがそれよりもっと大切なことは、お迎えしたお客様の気持ちに寄り添う表情であり態度です。何を言おうか、何を聞こうかと考える前に自分は「どんな表情」をしているかを意識しましょう。少々間違ったことを言ったとしても、表情豊かに語ることができれば大きな問題には発展しません。言葉の真意を表し伝える「表情」。磨きをかけてお客様に好印象を残す接客を心がけたいものですよね。そうすれば、記憶に残りリピートしてくれること間違いなしです。
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