この記事の目次
株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1.お客様に声をかける目的は何か?
◆ お客様のご来店に気づいているというメッセージ
お客様への声かけは「あなたの来店に気づいていますよ、いつでも何かあれば言って下さいね」という意味合いが込められています。見えているでしょう、ではなくお客様の方を向いて笑顔のアイコンタクトで話しかけることがポイントです。お客様は商品を見にきているのですがスタッフの表情や動きにはとても敏感です。それは、本当に困った時に親切にしてくれるかな・・逆にしつこくされないかな、と心の中では不安があるからです。スタッフは自分の表情・動作・態度を意識してお客様が話かけやすい雰囲気を演出しましょう。ついでに防犯対策にもなるので声かけは必須と言えます。
◆ なんでもお手伝いしますよというメッセージ
初めて来たお店でどこに何があるか?出ている色やサイズだけなのか?他には?など特に新規の場合はスタッフのお手伝いが必要です。行きつけの店であっても、新しい商品が入荷してるかもしれないし、前回まではなかったものがあるかもしれないなどお客様には常にワクワクして欲しいものですよね。声をかける目的は売りつけるためではありません。必要な時に必要なだけあなたのお役に立ちますよ、という気持ちが込められていなければなりません。そう考えるといきなり「何かお探しですか~?」とどんなお客様にも同じ声かけをするのはいがかなものでしょう。これは本当に何かを探している、急いでいる人にはいいのですが、特に目的もなくフラッと立ち寄って何かいいものがあれば買ってもいいな・・というお客様には当てはまりません。スタッフはお客様のサポート役だという事を念頭に置いてくださいね。
2.お客様が声かけを無視する理由は何か?
無視、というとガッカリしますよね。お客様は無視したくてしているのではありません。声かけの内容によっては反応のしようがない、反応できないだけだということを知りましょう。つまり、スタッフがお客様に無視させる方向にもっていっているかもしれないのです。
❶ プレゼントを買いにきたのに一方的に自分用だと決めつける
見ているものがお客様にしてはサイズが違うな、とか商品自体がよく贈り物に使われる場合などはご自分用かギフトか、などを確かめる必要があります。お客様の方から言って下さる場合もありますが出来ればこちらから気づいて声かけを工夫したいものです。あまり説明が長いとお客様が煩わしいと感じてしまうので気を付けましょう。
❷ 見るもの・触るもの全てに商品説明する
お客様には2つの来店目的が考えられます。ひとつは、欲しいものが具体的に決まっている場合。もうひとつは、特に欲しいものはないが何かいいもの・自分の気に入ったものがあれば買ってもいいなと漠然とした場合です。どちらの目的か分からないのに、見ているイコール欲しい・興味があると決めてかかるのは早すぎますよね。声かけフレーズ10選で詳しく紹介します。
➌ あれやこれやと質問攻めにする
ニーズを確認しなければ、との思いからつい質問攻めにしてしまいがちです。ニーズの確認は最初の声かけ成功後のステップです。まずお客様がスタッフの話を聞く気になって、このスタッフなら相談しようかなと思えるかどうかにかかっています。だからこそ、アプローチ段階のお声かけが重要なのです。それさえうまくいけばあとはお客様が、その先どう進めればいいか教えてくれます。というより、お客様と会話していくうちに自然と接客がスムーズに進むと言った方が正しいです。クローズドクエスチョン・オープンクエスチョンいずれであっても、答えてくれないからと言って、様々な質問を続けるのはやめましょう。
声かけを無視されない方法について動画で解説しています
★ 理想的な接客の流れ ★
1.いらっしゃいませ ・・・挨拶
2.ご一緒にお選びいたしましょうか?・・・アプローチ
※ お客様から反応があれば
3.どんな時にお召しになる〇〇ですか?・・・ニーズ
4.こちらの〇〇ならシワになりにくいのでご旅行にはピッタリかと思います・・・コンサルティング
5.たとえばこちらの✖✖を合わせるとこのようなイメージです・・・プレゼンテーション
6.是非ともお召しになってみてください・・・試着の促し
3.効果的な声かけフレーズ10選
一言で効果的な、と言っても大きく分けると2種類あります。この2種類を使い分けて、たくさんのお店の中から選んで来て下さった全てのお客様に楽しんで買い物していただけるようにしましょう。
① 質問型の声かけフレーズ
1.どういったものをお探しですか? ⇒ 明らかにキョロキョロと探してそうなお客様
2.プレゼントをお考えですか? ⇒ お客様のサイズや雰囲気と違うものを見ている又はそのお店の商品自体にギフト用途が多い場合
3.〇〇色の××がお好みですか? ⇒ 色・デザインなど似たようなものを見たり触れたりしている場合
4.お急ぎでいらっしゃいますか? ⇒ 足早に次から次へと見ている場合
5.ご旅行用の〇〇又はお仕事用の○○をお探しですか? ⇒ バッグや帽子などのアイテムの場合
このように、クローズドとオープンクエスチョンを織り交ぜてお客様の様子に合わせた質問型のフレーズが有効です。1.5.は文章で答えるオープンクエスチョン。2~4はハイかイイエで済むクローズドクエスチョンです。
② 説明型の声かけフレーズ
1.そちらの〇〇はご自宅で洗濯できます ⇒ 見ただけでは分からない商品の情報
2.この✖✖はお揃いの〇〇がコーディネートできます ⇒ 商品イメージが湧きやすい情報
3.同じデザインのお色違い(素材違い)もございます ⇒ スタッフにしか分からない情報
4.当店のみで取り扱いの〇〇です ⇒ 複数店舗の中で単独で扱っている場合
5.こちらは取り外して使うこともできます ⇒ 説明しないと分からない機能の情報
1~5に共通して言えることがあります。それは、商品説明や便利さなどをアピールしないことです。たとえば、取り外して使えるので便利でしょう?とかご自宅で洗えるので楽ですよね。など、それはお客様が感じることです。こちらから「だからどうなのか」の結論まで話してしまうとどうしても説明が長くなりますよね。ポイントは、軽く伝えてお客様の反応を見るということです。
③ 声かけフレーズのポイント
- 質問型で反応が薄い場合は説明型に切り替えてみる
- どちらも答えが返ってこない時は「もし何かございましたらいつでもお呼びくださいね」と言って一旦離れて次の機会を待つ
- お客様も人間なのでその日の気分次第で変わるもの
- 他のお客様のケースを次のお客様に当てはめない
- いらっしゃいませ・こんにちはなどの挨拶は入店直後に行う
- その次の声かけはお客様の動きに合わせてどのフレーズを使うか決める
- 全てのフレーズ共通で笑顔と軽いアイコンタクトで伝える
- 商品に向かって話さないこと
まとめ
いかがでしたか?最初の声かけと言っても、そのタイミングは秒数では計れません。お客様によって異なる動き・視線などをチェックしてみましょう。但し、お客様の真後ろや近すぎる距離はNGです。人には皆、パーソナルスペースというものがあります。まだ親しくなっていない人に近寄られると不快で不安になりますよね。見るもの触れるものをいちいち説明されたらお客様自身、自分が何に興味があるのか分からなくなってしまいます。無視される、という人はお客様が答えられない質問や説明をしているのかもしれません。それを接客されるのを嫌がっていると決めつけるのは間違いです。その店のスタッフはお客様より商品について詳しいはずです。そのプロのアドバイスを受けながら楽しく買い物していただけるように声かけを工夫してみてくださいね。
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