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職場においてそこで働くスタッフや部下のモチベーションを高めて維持することはいつの時代も大切なテーマです。常に社員がやる気を維持するためのモチベーションという言葉をどう解釈するか?そもそもモチベーションとは何か?どうやって高めればいいのかについて詳しく紹介いたします。

株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝

1.モチベーションとは何か?

昔から必ずと言っていいほど耳にする言葉ですよね。モチベーションは仕事、職場に限らず人間が生きていく上で必要なことでもあります。やる気はあるの?と言ったとしても、モチベーションはあるの?とは聞かないものです。そもそも「やる気」は本人=自分が決めることであり、やる気を教えることは出来ません。どうやって、やる気を引き出すか?やる気に火をつけるか?を考えていく必要があります。そして一過性でなく、継続することが重要です。

1.意欲・動機付け

モチベーションという言葉の解釈は「意欲・動機づけ」ということですが、どちらも目に見えないものです。その目に見えないものを形にして、アクションを起こす起爆剤となる「きっかけ」を作れば意欲が湧いてやる気になります。そのきっかけ作りがモチベーションを高めることにつながります。自分自身のモチベーションを高めるには、きっかけも自分自身で見つけるしかありません。他者のモチベーションを高めるには、複数の方法があります。こちらから、きっかけとなる材料を工夫して提供しなければなりません。それぞれ価値観の違う人間の集まりですから、ひとつのやり方でなくどんな種類があるのか見ていきましょう。

2.モチベーションは何故必要なのか?

仕事において、業績向上のためには働く人のモチベーションが必須科目です。幸せな人生を送るためにも将来に向けてのモチベーションが必要です。今日を頑張って明日を迎えての繰り返しですが、いつも明日が今日の続きではモチベーションを継続するのが難しくなりますよね。単調な毎日が安心につながることもありますが、ちょっとした変化や刺激がないと飽きてしまいます。その変化・刺激がモチベーションアップの秘訣と言っても過言ではありません。また、常に数字や成果だけに捕らわれていても疲れてしまいます。では、どんなことを動機づけすればいいのでしょう?

3.何を動機づけにするか?

どんなことが意欲をかき立てる動機になるか?は、その人が自分の中で「こうなりたい・こうしたい」と思っていることが関係します。置かれた状況や年齢、環境が変わればモチベーションも変化しますので、どこにスポットを当てるのかも変えていくべきでしょう。

① 給与・待遇面・・・給料をたくさんもらいたい。定時で帰りたい。希望の休みが欲しい。
② 立場・ポジション・・・
人の上に立ちたい。役職に就きたい。上昇志向。
他人からの評価・・・認められたい。目立ちたい。ライバルに勝ちたい。

この3種類が代表的な動機づけの具体例です。しかし、大きな組織になればなるほど個別に対応することなど出来ませんよね。では、どう活かせばいいのでしょうか。

答えは目標設定(MBO)を活用することです。各自の目指すところを業績評価に置き換えて落とし込むことで個別対応が可能になります。

2.モチベーションにも種類がある

ひとくちにモチベーションと言っても大きく分けると2種類あります。

1.外的要因・・・物理的なこと

例として、インセンティヴや昇進・昇格があげられます。

❶ インセンティヴについて
インセンティヴは個人に対してだけでなく、チーム全体を対象にしたものもあります。新製品を〇〇個売ったら〇〇円支給するとか、目標売上を〇%達成したら基本給にプラスして〇〇円もらえるというようなものです。これはとても分かりやすくて目指しやすい動機づけです。ここで注意したい点があります。それは、あくまでカンフル剤のように刺激としての使い方をすることです。インセンティヴとは「誘因」です。それを続け過ぎると、インセンティヴがなければ頑張らなくなってしまいます。そして、目指すことに疲れて飽きてしまい、個人だけなく会社の業績にも影響します。去年あったインセンティヴが今年ないことが原因で業績が下がるのは困りますよね。目先を変えて短期間で、ということがインセンティヴという誘因を効果的に使うポイントです。

❷ 昇進・昇格について
係長から課長になる昇進、等級2から3に上がる昇格のいずれもモチベーションを高めることができます。一方、昇進を目指さない社員も一定数存在します。一概に「やる気がない」と決めつけてがっかりする必要はありません。現場にいて直接顧客と関わって売上を作ることが本当に好きな社員もいます。会社にすれば、後輩も育てて欲しいし、ベテランが昇進してくれないと困る・・のも現実です。しかし、その社員が本当に会社にとって必要なら現場のスペシャリストとして活躍してもらうことも選択肢のひとつですよね。それなら、昇格制度を活用して業績アップに貢献してもらうための動機づけを用意すれば良いのではないでしょうか。

2.内的要因・・・心理的なこと

心理的なことでの代表例は、褒める・叱るのメリハリと公正な評価そして「感謝」です。

褒める・叱る
どちらの技術にも共通しているのは1.タイムリーであること 2.具体的な事実に基づくこと 3.その理由を明確にすること の3つです。褒めるのが下手、叱るというよりつい感情的に怒ってしまうという自覚がある人も少なくありません。上手か下手かは、はっきりとした定義があるようでない、のも事実です。相手に伝わるかどうかの一点に絞って考えてみましょう。なんで叱られたのかよく分からない・・・それがそんなに問題なの?と感じたらモチベーションは下がってしまいます。叱る側は相当のエネルギーを使うのに、伝わらないとなればこんな残念なことはありませんよね。褒められればどんなことでも嬉しいものですが、その内容がなんの役に立つから褒められたのか?どう良かったのか?が分かれば、次もまた褒められたいと思うのが心情ですよね。

公正な評価
誰しも自分の行動や結果について正しく評価されたい、と思っています。3.の「何を動機づけにするか」で述べましたが、人に認められたいという欲望は誰にでもある、と言えます。そして他人と比較されることを好みません。たとえば、ライバルに勝ちたいという思いも言い方を変えれば自分が一番になりたい、ということになります。逆に言えば、そのくらいの精神を持って欲しいくらいではないでしょうか。相手が取った行動、過程、結果に対して時系列的にバランスのとれた評価が必要です。上司の主観ではなく、偏らない評価を客観的にすることが大切です。また、あえて主観を「感想」として伝えることも効果的です。数字という結果は伴わなかったが、目標に向かって前向きに真剣に取り組んだ姿勢も評価に値します。評価と言ってもどこかに人間らしさ、がなければ「ぎすぎすした」関係になってしまいますよね。

3.感謝のモチベーション

上司や他人からの「ありがとう」の一言がモチベーションになることを忘れてはいけません。つい、見落としがちな感謝の心とそれを伝えるスキルアップが重要です。感謝する気持ちがベースにあることで、褒める・叱る、評価することの3つもスムーズにできるのではないでしょうか。どんな小さなことでも感謝の対象にする意識を持ちましょう。すぐに思いつかないのなら、探してでも見つけるようにしましょう。たとえば、チームのムードメーカーである。いつも率先して掃除をしてくれている。急なシフト変更に気持ちよく応じてくれた。などですが毎日、全てをチェックしておく必要もありません。一日一日の単発的な出来事に対して気がつく意識を持って、気がついたら「ありがとう」と伝えるようにしましょう。最も大きな感謝は、あなたがいてくれて助かる、というその人の「存在そのもの」への感謝です。

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3.モチベーションを高める秘訣

モチベーションとは何か、どんな種類があるのかなどをこれまで述べてきました。では、やる気を引き出し、意欲を奮い立たせるためる秘訣はなんでしょうか。

1.ポジティブなメッセージ

具体的な言葉、表現方法がポイントです。

❶ トークの工夫

でも・しか・ならの3原則・・・でも、は相手の意見や考えを否定的に捉える意味合いを持ちます。「でも」を使わず「そうは言っても」に言い換えれば否定を和らげることができます。一旦、相手の言葉を受け止めてから他の考えもあるよ、と伝えて心を閉ざしてしまわないよう配慮しましょう。しか、は「これしかない」と限定する言葉です。3分しかない、ではなく3分もあると考えれば前向きになれますよね。これしかない、を「これならある」と、「しか」に「なら」を補足して言い換えるとスムーズです。電話で連絡するしかないけど、メールならあとで確認できるよね。と、どちらも会うことはできないのですが後者なら安心できますよね。

❷ 表現力の工夫

表現力とはボキャブラリーの豊富さ、そして自分の言葉で語ることです。ポジティブなメッセージを送りたいわけですから、ネガティブに伝わることを言い換えることが必要です。気をつけることは「意味が変わらないように」工夫することです。たとえば災害が起きたとき、① エレベーターを使わないでください!② 階段を使ってください!の2つを比べてみましょう。② の方が慌てずに済みますよね。~しないで下さい → ~してください、という具合に言い換えてみましょう。お客様の前を横切らないで、と言うよりお客様の後ろを通るように、と言う方が素直に聞けますよね。

➌ ボディランゲージの工夫

有名なメラビアンの法則にあるように、言語より非言語のコミュニケーションを活用しましょう。どんな立派なことを言っていてもそれを伝えるときの表情・態度・動作が伴っていないと伝わりません。パソコンを見ながら、メモを取るために下を向いたまま話をすると「聞いてない印象」を与えてしまいます。また、自分の「動作のクセ」も知っておく必要があります。座った途端、足を組んで腕組みをするポーズは相手を拒絶している印象を与えます。大事なことを伝えたいときは、手振り身振りの動作も大きくなるのが自然です。ここで注意点があります。それは、相手が話をしている時のボディランゲージはタブーだということです。話をしながら気になってしまい、集中できなくなります。自分が話すときのボディランゲージは説得力につながりますが、話を聞くときは静止して集中しましょう。

2.成功イメージの演出

小さなゴールを積み重ねた先に得られることをイメージすることが大切です。そして、成功することに対してワクワク感を持ってもらうことです。何をどう、どの程度頑張れば自分の望みが叶うのか?を具体化して行動に反映させることがポイントです。「将来の姿」をイメージできれば、そこに向かって努力する価値がありますよね。目標管理(MBO)とは、生産性向上・業績アップの手法であり個人に向けた評価システムです。しかし、これだけではモチベーションの継続ができるとは限りません。では、どんなバランスが良いのでしょうか。

根性論はもう古い?!

気合・根性・理屈抜きで、というモチベーションは通用しない時代になりました。これ等は他人に言われることでなく自分が感じることですよね。命令ではなく「説明」が大切です。これをやった先に何があるのか?を明確にして納得して「頑張って」もらいましょう。

心理的要素

「気力」という目に見えない無形の要素として、仕事のやりがい・達成感・心の充足感があげられます。自分が会社に貢献できている状態を継続することがモチベーションの継続にもつながります。ただし、今の時代は根性論は通用しなくなりつつあります。精神論・根性論ではなく自分の意志に基いて未来の成功した自分をイメージすることが大切です。

物理的要素

「成果」という目に見える有形の要素として、待遇面の成功イメージを作ることがあげられます。誰にでも得手不得手があります。出来ないことより出来ること、得意なことにスポットを当てて成長を促す。と言っても一人完結型の仕事もありますので現実的ではないかもしれません。その場合は、適材適所の役割分担で周囲との協力体制でカバーする方法があります。はっきりと自分の成果が自覚できれば成功イメージにもつながります。

まとめ

モチベーションを高めるには、ちょっと手を伸ばせば届く程度の達成可能な目標を段階的に設定しながら目指してもらうことが必要です。最初からハードルが高すぎると目指す気になれませんよね。小さなゴールの積み重ねと達成したときの自己実現こそが、モチベーション継続の秘訣です。そのゴールを用意するのが上司の役目であり、マネジメントに必要なことです。ゴールまでの道のりには、様々な悩みや「つまづき」があります。そんなときに相談に乗ったりアドバイスして支えてくれる人がいてくれたら安心して頑張れますよね。そして「ありがとう」と「感謝される報酬」は人を元気にし、やる気を引き出す重要なメッセージではないでしょうか。

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