この記事の目次
株式会社ア・ソリューション 代表取締役 高橋伸枝
1. 社内でのOFF-JT
❶ OFF-JTのやりかた
一言で言うと職場外での集合研修です。座学を中心にロールプレイング/グループワークなどを取り入れて行う教育方法です。登壇する講師も社内の教育担当者/トレーナーが主ですが、他にも効果的な方法があるのでポイントを紹介していきます。
★ 誰が?
社内教育担当者/トレーナー/現場にいる店長やマネージャーが行います。店長やマネージャーが行う時は、同じ店長クラス同士の場合と会社の会議室を使って店長がその店のスタッフに対して何人かに分けて行うこともできます。
★ どんな方法で?
教育担当者やトレーナーが行う場合は、事前にテーマに基づくカリキュラムを作成してカリキュラムに則した資料やテキストを準備します。現場にして好成績を出した店長やマネージャーが行う場合は上司と事前に綿密な打ち合わせを行い、プロセスから結果に至るまでをプレゼン形式で発表してもらいます。同じ立場の店長やマネージャーであれば、成功事例の共有が主な目的となります。これは研修という形ではなく「勉強会」と位置付けることで反感をかうことなく実施することが可能です。終日=全時間を店長・マネージャーに仕切らせることもできますが、必ず上司がオーガナイズしてサポートすることが重要です。メリットは、同じことをやっている仲間との情報共有により「やればできる」という事実をモチベーションに変えることです。そう考えると現場の店長・マネージャーが行う場合の方法としては、グループでのワークショップと発表形式がベストです。
❷ 気を付けるべき点
- 教育担当者・トレーナーが行う場合は、実施前に現場の状況をしっかりと把握しておくことが大切です。よくあるケースからレアケースまで実際にあったことを例題に取り上げます。会社の方針や方向性、目標に基づくことは言うまでもありませんが各店舗・各部署に対して公平平等にメッセージを出すことが必要です。又、質問をする場面ではすぐに答えられない人に対しては「考えておいてね、あとでもう一度聞きますね」と優しくフォローすると皆の前で恥ずかしい思いをさせずに済みます。そして、素直な気持ちで参加してくれるので最後にもう一度聞くとちゃんと答えます。いかに前向きな気持ちで参加してもらい、社内研修はためになると思ってもらえるか?が大切ですよね。
- 店長・マネージャーが行う場合は、終日ではなく3時間程度が望ましいでしょう。プレゼンのあとにワークショップとして、今回のテーマを数人で話し合い参加者がアクションプランを作成して終了という流れが効果的です。好成績の自慢大会にならないように、上司との擦り合わせが重要なカギとなります。目立ちたくない、恥ずかしいなど辞退したい人もいるかもしれません。しかし、本人のステップアップのためにもしておくべき体験なので人前で話すことや仲間とのコミュニケーションも身に付く良い方法だと考えます。昇格に向けてのリハーサルと言えるかもしれませんね。
- ミーティングとは違うので「研修・トレーニングとしての組み立てと演出」が大切です。全員参加でインプットとアウトプットの2つの手法が効果的です。
☘ 集合研修での質問のポイント ☘
❶ 全員に聞こえる声で質問する
❷ ヒントをあげすぎない
➌ まんべんなく指名する
➍ 答えてくれた人に感謝する
❺ 答えられなくても無視しない
2. 社内でのOJT
❶ OJTのやりかた
現場で上司が「やってみせる」部下に「やらせてみる」それに対してフィードバックするという方法がシンプルです。業種にもよりますが、言葉として聞いたことを体現する/させることで臨場感が生まれます。
★ OJTの目的
現場で実践すべきことを机上で指導しただけでは伝わりませんよね。必ずしも上司のやり方が一番、というわけではないのでうまくいく姿だけを見せる必要はありません。現場で起きていることを同じ目線で見て部下との相互理解が一つ目の目的です。二つ目は「こうしなさい」と教えるというより実際の現場で本物のお客様に対して「上司と一緒に体験する」ことで学びと気づきを与えることが目的です。
★ どんな方法で?
業種によっても違いますが共通して言えることは、実施後のフィードバックが大切だということです。OJTに入る前に、今日のテーマ・課題を明確にして何故なんのためにOJTをやるのか?について部下がしっかりと理解しておくことです。複数人の部下がいるところに上司やトレーナーが一人で入店するわけですから、対象者一人にかける時間の目安も決めておく必要があります。誰とランチに行くのか?誰と休憩に行くのか?についても全てスケジューリングしておきます。本物のお客様が相手ですから、一つひとつのケースに対してちゃんと分析して伝えるようにしましょう。そして部下には必ず「感想」を聞きましょう。どう感じたか?どうしてそう思ったか?などを分析させることも大事な教育です。
❷ 気を付けるべき点
- OJTでのフィードバックは「評価」ではありません。出来たか出来ないか?という視点ではなく、感じたことをそのままにありのままを伝えることです。そして最も効果的なフィードバックは、上司やトレーナーが「私ならこうする」というメッセージであることです。仮にOFF-JTで教えたことができているかどうかをチェックするOJTだったとしても良いか悪いか、をこの時点で評価してしまうと次回からは緊張してしまって何をやってもうまくいかないという可能性があるからです。評価は評価としてのフィードバックを、OJTはありのままの事実を伝えて改善すべきところにアドバイスをする。という方法が効果的です。ムリに褒める必要はありませんが「あの〇〇は良かったね、私でも欲しくなると思うよ」というように「承認」のコメントが有効です。
- 先ほども述べましたが、部下一人ひとりに対して公平平等に接することです。出来る部下に偏ったりその逆は好ましくありません。人数が多い場合は、2日か3日に分けて行うのが良いでしょう。「同じ場所、同じ環境で一日を一緒に過ごす」ことで親近感も生まれ、普段相談できないような事でも心を開いてくれるかもしれません。OJTの良さは部下との一体感であり連帯感が生まれることでもあるのです。店長はやることが多くて忙しいのですが、自分の接客に部下を巻き込んで「聞かせる・見せる」ことも立派なOJT教育です。
- OJTをスタートする前に、部下にその目的とゴールを表明しておくことです。どうなって欲しいから、どうなりたいからこれをするのか?という説明はOJTに限ったことではありませんよね。仕事はそれをやる意味と意義がちゃんと理解納得できれば、誰でも前向きに取り組めるものです。やれと言われたから・・・ではいい結果に結びつきませんよね。
3. 社外研修/セミナー
社内に教育担当者がいない、居たとしても忙しくて手が回らないなどの場合は社外の外部講師に依頼することもメリットがあります。又、社内では慣れてしまって新鮮味がない場合も有効な方法です。同じことを言ってるだけなのに外部の人間の力を借りることで説得力が増すという効果もあります。
❶ 研修とセミナーの違い
セミナーが一方通行なのに対して研修は相互通行、2wayでの教育手法です。セミナーでも質疑応答の時間は設けますがテーマに沿った講義が中心となります。研修は、各カリキュラムの区切りごとに質問や疑問を受け付けますのでタイムリーに理解が深まります。伝えたい、指導したい内容によってもセミナーと研修の使い分けが可能です。その道のプロの話を聞かせることでモチベーションを上げたい時はセミナー形式が良いでしょう。知識と技術の習得に加えて普段の悩みも解決したい時は研修形式がベストです。セミナーは、途中での軌道修正が基本的には無用ですので伝えたいことがブレることなく終えられます。研修は事前に課題を整理して、それを持ち寄ってペアワークやグループワークをすることで気づきを行動に移すことにつながります。参加者の動向によっては途中で修正が必要になることもあります。更に、一緒に受ける仲間とのコミュニケーションが深まるという大きなメリットがあります。
❷ 社外実施時の5つのポイント
- セミナーも研修も集中力が重要なカギです。3時間と終日でも変わって来ますが、参加者を飽きさせないような工夫が必要です。
- 実施前の打合せ・擦り合わせが最も重要で受講者が現場に置き換えて聞ける、参加できるためには担当講師の理解がカギとなります。
- いかに参加者を巻き込んでいくか?引き込んでいけるか?によって得られる成果は変わってきます。具体的で分かりやすい取り組み可能な内容であるか、が大切です。
- 特に集合研修の場合は、伝えたいテーマや内容が正しくそして全員に伝わったか?疑問や不安はないかなどを確かめるためにも受講レポートが欠かせません。
- 外部講師は他社事例をたくさん持っています。会社名は伏せて、特に競合他社などの成功例やうまくいかない点などを講義内容に盛り込んでもらうことも効果的です。
研修に対する考え方などを動画で解説しています 05:12~07:12あたりをご覧ください
まとめ
社員や部下の教育には1on1コーチングから集合研修まで様々な手法があります。中途入社の場合などは、前職のやり方から抜け出せず思うように成果が上がらない人もいます。又、キャリアや価値観・保有スキルにもバラつきがあります。社内外の研修を正しく運用・活用すれば自分流に固執することなく、常に向上心を持って働いてくれるはずです。世代も性別もキャリアの有無も様々ですが、大切なことは現状に満足せず諦めず新しいことに挑戦する気持ちではないでしょうか。気づきやヒントを自分のものにして行動に移すよう意欲をかき立てることが研修の目的なのです。
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